【凱旋門賞】日本の枠に縛られない矢作イズム シンエンペラーは国内G1未勝利でも「向こうに適性があると思って」

矢作調教師はシンエンペラーの仕上がりに自信
矢作調教師はシンエンペラーの仕上がりに自信

◆凱旋門賞・G1(10月6日、仏パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)

 JRA海外馬券発売対象レースの第103回凱旋門賞・G1(10月6日、パリロンシャン競馬場)に、日本調教馬として唯一、シンエンペラーが参戦する。好内容の3着だった前哨戦を経て、矢作芳人調教師(63)=栗東=は「全身全霊をかけて取りたい」と意気込んだ。

 矢作調教師には忘れられない記憶がある。助手時代に海外研修へ出ていた1989年。現地でできた友人が担当する伏兵のキャロルハウスが道悪の凱旋門賞を勝った。「最初の生観戦だったけど、彼が勝つのを見て、明確な夢になったかな」。

 続くジャパンCは14着大敗。矢作師は考えた。「戦略として、種目が違う競馬。日本で強いだけじゃない馬を連れていかないと」。調教師試験も受ける前だった20代の頃から、すでに思考は“世界仕様”だった。

 シンエンペラーは日本でG1勝利がない。「たまに聞かれるけど、そんな馬だから連れて行くんだ。向こうに適性があると思って」と笑う。国内外で経験を積み、シンエンペラーも2年前の仏セールで見いだした。相馬眼には自信がある。

 リアルスティール、マルシュロレーヌ、パンサラッサ…。世界の大舞台で結果を出してきた愛馬たちには国内G1勝利がなかった。日本の枠に縛られない適材適所。これこそが矢作イズムだろう。その集大成となる偉業をしっかり見届けたいと思う。(山本 武志)

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