◆第29回秋華賞・G1(10月13日、京都競馬場・芝2000メートル)
牝馬3冠の最終戦、第29回秋華賞・G1(13日、京都)で2冠を目指す2頭、桜花賞馬ステレンボッシュとオークス馬チェルヴィニアが激突する。
ラスト1冠は絶対に譲らない。桜花賞馬ステレンボッシュが、2冠へ反撃に転じる。春は桜花賞で1冠を奪取。2冠を目指して挑んだオークスではいったん、先頭に立つ見せ場十分の内容ながら、外からチェルヴィニアに差され3冠の権利を奪われた。そのライバルとは1勝1敗。勝負付けはまだ済んではいない。3度目の対戦に向けて、国枝調教師は「前走は落鉄もあったからね。ただ、相手も強かった。最後の1冠は取りたいね」と静かだが、確かな思いを言葉に込めた。
「必勝ローテ+栗東滞在」で勝負にいく。オークス以来の実戦になるが、この「直行」はいまやトレンド。自身が手がけ3冠馬になった18年のアーモンドアイから、オークスからの直行馬が6年間で5勝。夏に成長を促し、牧場との密接なコミュニケーションを取りながら余力を持ちながら頂上決戦に挑んでいく。
中間は阪神JF、桜花賞に続き、直前での長距離輸送がなく、メンタル面が落ち着くメリットがある栗東滞在で調整している。1週前追い切りは、やや硬さが出て水曜の予定を木曜に変更したとはいえ、栗東・坂路でモスクロッサー(3歳1勝クラス)を追走して強めに追われ、52秒2―12秒9で併入。気配はいい。トレーナーは「1秒くらい追いかけたぶん、最後はいっぱいになったけど、馬場が悪い中でしっかり動けていた。獣医に見てもらったけど特に問題ないし、これで軌道に乗ると思う」と順調さをアピールしている。
過去、アパパネ、アーモンドアイの3冠馬を送り出した名門。その2頭と比較しても「いい感じだよ」と評価は高い。完成度はもともと高いものの、「成長しているし、見た目も立派だよ」と国枝師。素質に成長を加え、女王の座を奪い返しにいく。(松末 守司)