2024年度のJRA賞が7日、発表され、天皇賞・秋、ジャパンCを2連勝したドウデュースが得票率92・2%(236/256票)で初の年度代表馬に輝いた。最優秀4歳以上牡馬では満票の支持を受け、管理した友道康夫調教師(61)=栗東=がスポーツ報知に独占手記を寄せた。
ドウデュースが年度代表馬に選ばれました。とてもファンの多い馬で、皆さんの応援があってこその成績、選出だったと思うので本当に感謝しています。
ただ、最後に有馬記念を走らせることができずに申し訳ありません。何より「まずは無事に」が大前提だったラストシーズン。前年と同じローテとはいえ、当時以上のパフォーマンスを見せていたから、常に脚元の心配はしていました。いつもと違う歩様を見せたのは本当に最後の最後。すぐにやめることを決めました。これから、もっと大きな仕事が待っているからです。幸い大事には至らず、無事に北海道へ送り出し、今はホッとしています。
昨秋は本当に強かった。特にジャパンCは絶対に負けないなと思っていました。引退を意識するようになったのはジャパンC後からですが、それは今までも多かったファンの方からの手紙が一気に増えたからです。「頑張ってください」「もう一年続けてください」など3ケタを超えるメッセージ、さらには贈り物やお花なども届きました。改めて、ファンに愛された馬だなと痛感しましたね。
ドウデュースは本当にすごい馬です。特にダービー馬の強い姿を、皆さんに長く見てもらえたことがよかった。過去にマカヒキ(16年)、ワグネリアン(18年)でダービーを勝たせてもらいましたが、その後はG1を勝てず。ダービーを勝つのは早熟の馬なのかな、と思っていました。しかし、ドウデュースは2歳で朝日杯FSを勝ちながらも、年を重ねるたびに進化を続けていく。すごい成長力です。ダービー馬は強い―。それが競馬の本筋と思うし、しっかりと走りで示してくれました。
ドウデュースにとっては3年ぶりのJRA賞受賞です。過去2年、対象部門は同世代のイクイノックスが受賞していました。そのライバルがターフにいない24年、あの馬があれだけ活躍したのだから、変な競馬はできないという気持ちは常に持っていました。あの世代のダービー馬として、です。
今後は種牡馬として、新たなスタートを切ります。2歳の早い時期から5歳までG1を毎年勝ち、勝ち鞍も1600~2500メートルと幅広い。芝しか走っていないけど、ダートでも走れたと思います。実は去年のドバイ・ターフを勝てば、秋はアメリカのBCクラシックに行こうという話もあったんです。冗談半分ではありましたが、そんな話題が出るほど砂適性を見込んでいたんです。種牡馬としては完璧なんじゃないかなと思います。
北海道に到着後の様子を動画で見ましたが、初めての場所で若干寂しそうな顔をしているなと感じました。実は繊細な面もある馬だったんですよ。それも最初のうちだけでしょう。きっといい子供を出すと思いますし、手掛ける時にはいい走りを見せられるように、厩舎一丸となってやっていきます。その時はまた応援してください。
(JRA調教師)
◆ドウデュース 父ハーツクライ、母ダストアンドダイヤモンズ(父ヴィンディケーション)。栗東・友道康夫厩舎所属の牡5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算16戦8勝(うち海外3戦0勝)。24年の勝ち鞍は天皇賞・秋・G1、ジャパンC・G1。同年の総獲得賞金は7億4742万6400円(うち海外2121万400円)。馬主は(株)キーファーズ。