◆第18回ヴィクトリアマイル・G1(5月14日、東京競馬場・芝1600メートル)
第18回ヴィクトリアマイル(14日、東京)が今年初戦となるソダシ。上半期は安田記念(6月4日、東京)と2戦のローテーションを陣営は明言している。09年のウオッカ以来の府中マイルG1連勝で、秋に史上最強のマイラーの扉を叩くか。集大成の一年を迎えた白毛のアイドルの今をヤマタケ(山本武志)デスクが「見た」。
王道を突き進む。5歳を迎えたソダシは芝マイルG1の転戦を決めた。そのローテーションを聞いた時、頭をよぎったのは昨夏の北海道。ヴィクトリアマイル制覇後に間隔を空け、札幌記念へ向けての調整中に須貝調教師から聞いた言葉だ。「ヴィクトリアの後に安田記念というのも少しは考えたけど、まだ先のある馬。それは来年でもできることだから」
昨秋はたくましさを増した真っ白な馬体に目を細めていたトレーナーが、この中間に口にしているのは精神面の成長。以前は音に敏感な面もあったが、今は本当に堂々としている。「お姉さんになりました。アイドルから名女優になった感じかな」。あの言葉がまるで予言のように、心身両面で進化を遂げ、マイルG1転戦の現実へ近づいていることに今は驚いている。
名牝への道を歩んでいる。グレード制導入後、JRAの芝マイルG1を最も勝っているのはグランアレグリアの5勝。ソダシは春の2戦で勝てば肩を並べ、秋にマイルCS出走となれば新記録も視野に入る。また、2歳からの4年連続G1勝利となれば、牝馬ではメジロドーベル、ウオッカ、ブエナビスタの3頭だけ。今年は結果を出せば、おのずと記録がついてくる。
デビューから約3年。常に一線級で走り続けてきた。「丈夫だからね。全身のバランスがいいから、厳しい競馬を走った後でも故障をしない」と須貝師。1分31秒1の驚異的なレコードで桜花賞を勝つ一方、3冠を分け合ったユーバーレーベン、アカイトリノムスメ、さらに接戦を演じてきたサトノレイナスはすでに故障でターフを去った。デビューからソダシの取材を続けているが、故障で予定が変わったということは一度もない。まさに無事是名馬だ。
今回は3月上旬に放牧先から帰厩。約2か月乗り込んでの復帰は桜花賞時と同じ。2週前に新コンビのレーンが感触を確かめ、1週前にはしっかりと負荷をかけられた。「これでスイッチが入ると思う。ここまで予定通り、本当に順調にきています」。そう太鼓判を押した須貝師に「もう完成形ですかね」と尋ねると、力強くうなずいた。集大成の一年、しっかりと見届けたい。(山本 武志)
9月で定年「名コンビ」今浪隆利厩務員「これで万全」
ソダシを担当する今浪隆利厩務員は、今年9月で定年を迎える。ソダシと過ごす時間も残り少なくなってきた。全休日の8日朝、「テンションも落ち着いているしいつも通りのソダシだと思う。たまに暴れるけど、“あいつ”(ゴールドシップ)に比べればね」と、かつて担当した個性派のG1・6勝馬を引き合いに出し、愛馬に優しいまなざしを向けた。
昨年はフェブラリーS(3着)からの臨戦だった。今年はここが初戦。3日の1週前追い切りでは栗東・CWコースで6ハロン78秒8―11秒4の自己ベストをマークして態勢は整いつつある。「間隔が空いたので先週に強い追い切りを消化した。これで万全かなと思う。自分は馬の調子を上げて、仕上げるだけ。連覇したいね」と自信を示した。競馬ファンにもおなじみの人気コンビが、レース史上3頭目の連覇に挑む。