◆第18回ヴィクトリアマイル・G1(5月14日、東京競馬場・芝1600メートル、良)
4歳以上の春の女王を決めるヴィクトリアマイルは14日、東京競馬場で行われ、4番人気のソングラインがスターズオンアースとソダシの上位人気馬を差し切り、G1・2勝目を挙げた。戸崎はレース最多タイとなる3勝目。今後は安田記念(6月4日、東京)連覇と、秋の米G1ブリーダーズCマイル(11月4日、サンタアニタパーク競馬場)挑戦を目指す。
残り200メートルでソダシ、スターズオンアースのマッチレースの様相。地鳴りのような歓声がスタンドを包み込む。白毛のヒロインが連覇を達成―、に思われたゴール寸前、内を突いたソングラインがまとめてかわした。林調教師は「改めてこの馬の強さに興奮しましたし、かわしたかなというときは頭が真っ白になりました」と喜びを爆発させた。
想定外を想定外が上回った。雨の影響で芝は終日、外伸び傾向。戸崎は「前のポジションを取りたかったし、馬場のいい外を通りたかった」と話したが、道中は中団の内。思い描いたとおりのレースプランではなかったが「バランスも崩していなかったし、馬を信じて最内を突きました。馬場が緩い中でもしっかりと走ってくれていましたね」。上がり3ハロンは前を行く両馬を0秒4上回る33秒2。苦しい位置取りを、圧巻のヴィクトリーロードに変えてみせた。
昨年の安田記念V後は〈5〉〈10〉着。「期待を裏切るレースを続けてしまっていたので、何とかしなくてはと思っていました」とトレーナー。坂路でハードなトレーニングを課し、テン乗りとなる戸崎には「2週前から追い切りに騎乗してほしい」と異例のオファーを出した。通常は1週前から。「少し戸惑いました」という戸崎も熱意を感じて快諾。15年ストレイトガールに続きテン乗りで結果を出し、ルメールに並ぶ歴代最多となるヴィクトリアマイル3勝目をつかみ取った。
G1タイトル「前年に安田記念V→ヴィクトリアマイルV」の戦歴は、ウオッカとグランアレグリアに並ぶ快挙で、林調教師も戸崎も「素晴らしい馬です」とそろってたたえた。今後について所有するサンデーレーシングの吉田俊介代表は「問題なければ、安田記念のつもりです。秋は去年果たせなかったBCマイルが視野に入っています」。強力なライバルとの激戦を制した春の女王は、牡馬相手の安田記念連覇、そして海外を見据えた。(角田 晨)
◆ソングライン 父キズナ、母ルミナスパレード(父シンボリクリスエス)。美浦・林徹厩舎所属の牝5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算14戦6勝(うち海外2戦1勝)。総獲得賞金5億8105万5300円(うち海外1億352万9300円)。主な勝ち鞍は富士S・G2(21年)、1351ターフスプリント・G3(22年)、安田記念・G1(22年)。馬主は(有)サンデーレーシング。