◆第25回チャンピオンズC・G1(12月1日、中京競馬場・ダート1800メートル)
第25回チャンピオンズC・G1(12月1日、中京)で、菱田裕二騎手(32)=栗東・岡田厩舎=が相棒のアーテルアストレアと、15年サンビスタ以来となる史上2頭目の牝馬Vを目指す。けがで騎乗できなかった昨年の悔しさを胸に、その後にコンビでJpn3を2勝。自身も春の天皇賞でG1ジョッキーとなり、人馬ともに実績を積んで迎える秋のダート王決定戦だ。
昨年はけがで乗れなかったアーテルアストレアの背中に、今年は菱田がいる。当時はスタンドでレースを見守り、「自分が乗ることを考えながら見ていました。ファンファーレを聞いて、(代打の横山)武史が率直にうらやましかった」と唇をかんだ。1年後は絶対一緒にチャンピオンズCに出場すると心に誓った。
9着に終わった昨年も、上がり3ハロンは2位タイ。今年は2つの重賞をともに勝ち、昨年よりも力を付けた。全8勝中、7勝を挙げるコンビで、当舞台は6戦4勝。15年のサンビスタ以来、史上2頭目の牝馬Vに向け、「ハートがものすごく強いし、堂々としているのが長所。アーテルにとって一番いい舞台ですし、十分やれると思っています」と力を込めた。
菱田自身も今年の天皇賞・春をテーオーロイヤルで勝ち、デビュー13年目で待望のG1ジョッキーとなった。「うれしかったですし、僕自身、ここから始まるという感覚でした」と飛躍の秋につなげるはずだったが、9月14日の中京競馬で落馬し、左上腕骨骨幹部骨折、右膝関節内側側副じん帯損傷などで2年連続での戦線離脱。しかし、わずか2か月足らずの11月9日に復帰すると、24日の京都競馬で復帰後の初勝利を挙げた。昨年のような悔しい思いは二度としたくない―。その気持ちが回復力を呼び起こした。
「去年も今年も、僕はけがをしたのにオーナーは待ってくれていました。その気持ちに応えたい」。大好きな相棒とG1に挑める喜びで、菱田の目は輝いていた。(山下 優)
◆牝馬の成績 前身のジャパンCダート時代を含めて延べ22頭が出走し【10021】。現在の施行条件になった14年以降は【1006】で、前年4着のサンビスタが6歳時の15年に単勝12番人気で勝ち、3連単31万8430円の大波乱となった。
橋口調教師「今年の方がいい」
○…アーテルアストレアは26日、栗東・CWコースを2周。リラックスした様子で軽快に駆けた。昨年(9着)はレディスプレリュード(1着)からJBCレディスクラシック(3着)を挟んだが、今年は直行。「昨年はJBCにピークを持っていった後、維持しながらの調整。今年の方がいいですね。馬も成長しています」と橋口調教師は違いを強調した。