8月19日の新潟3R・2歳新馬戦で、34年ぶりの珍事が起きた。
出走予定の(2)エンブレムボム(牡2歳、栗東・森秀行厩舎、父セントパトリックスデイ)が、別の馬であることが判明し、競走除外となった。管理する森秀行調教師には過怠金50万円が課された。
同馬と思われていた馬が装鞍所に入所した午前10時25分頃、特徴照合とうなじに埋め込まれているマイクロチップの検査で同厩舎所属のエコロネオ(牡2歳、父バーナーディニ)であると発覚。JRAが調査を行い、8月5日の坂路調教から両馬を取り違え、ゼッケンを入れ替えて調教を行っていたことが分かった。
関係者への聞き取り調査によると、両馬はともに7月28日に栗東トレセンに入厩。8月2日のゲート試験までは正常にゼッケンが運用されていたが、休養を挟んだ調教再開のタイミングで取り違えが発生。森調教師は8月3日から11日までアメリカへ出張のため確認ができず、さらに同厩舎は担当制ではないため厩務員も気づかなかったという。そのまま両馬を錯誤して出馬投票を行い、今回の発覚へと至った。また、実際のエンブレムボムは8月12日にエコロネオ名義のまま放牧に出されている。
事態を受けて、裁決委員は「単に取り違えただけではなく調教時から間違えており与えた影響は非常に大きいが、違反行為を行ったわけではないので調教停止を命じるほどではない」とし、裁決が運用できる過怠金では最大額となる50万円を課した。
JRAで確認できる事例では、1989年2月25日の中山競馬場で新関力・元調教師によるホクトサイレンスと他馬の取り違え、同年7月15日の小倉競馬場で谷八郎・元調教師によるエイティナイナー、イチライムテキの取り違えの2件がある。なお、両調教師ともに過怠金10万円の処分が下っている。