新年早々に手前みそな話で恐縮だが、昨年の当コラムではソールオリエンスをイチ押しした。その後の活躍はご承知の通りで、今年は王道の牡馬ではなく、あえてここから駆け上がりそうな牝馬をプッシュしてみたい。昨年のソールオリエンスと同じく現時点では「1勝馬」でも、大いなる将来性を秘めていそうなのがエリカエスティーム(牝3歳、美浦・宮田敬介厩舎)だ。
6月の東京での新馬戦は好位3番手から運び、直線では伸びそうで伸びないフワフワした走りで4着に終わった。その後は夏の札幌を使うことも検討されたが、ひと頓挫あって仕切り直しとなり、デビュー2戦目となる12月2日の未勝利戦(中山・芝1600メートル)で1番人気に応えて初V。好位から危なげなく抜け出して1馬身1/4差の完勝だったが、宮田調教師が「もっとはじけるかと思ったんですが…」と控えめに振り返ったのは期待の大きさの裏返しと言えるだろう。
今後はエルフィンS(2月3日、京都)を視野に始動戦を考えており、改めて宮田師に期待をほどを聞くと「能力はもともと高くて、もっと走れると思います。メンタル面と体の面のバランスを無理せず整えながらやっていきたいですね」という答えが返ってきた。当面はマイル路線を歩んでいきそうだが、500キロ以上という恵まれた馬体は胴もそれなりに長く、指揮官は「馬格をみたら、もう少し伸ばしても」とイメージを口にする。
母メチャコルタはアルゼンチン1000ギニー大賞典(芝1600メートル)を勝ったG1馬で、底力と爆発力を秘める父モーリスとの血統背景からも大物感は十分に伝わってくる。POG的にも注目していきたい一頭だ。(坂本 達洋)