◆第29回シルクロードS・G3(1月28日、京都競馬場・芝1200メートル)
第29回シルクロードS・G3(28日、京都)で、明け5歳を迎えたエターナルタイムの遅咲きの血が騒いでいる。同じ美浦・中川厩舎に所属した母マジックタイムは、5歳で重賞を2勝。初のスプリント戦だが、前走で非凡なスピードを見せたロードカナロア産駒が、混戦ムードの高松宮記念・G1(3月24日、中京)の有力候補に躍り出る。
厩舎ゆかりの素質馬が、初の1200メートルで新境地を切り開く。エターナルタイムは追い切りを翌日に控えた23日、美浦・坂路を登坂した後、ダートコースをキャンターで周回。落ち着いた雰囲気で体の張り、つやともにひと際目立つ。見守った中川調教師も「放牧先のノーザンファーム天栄から、いい状態で戻ってきて、ここまで予定通り順調にきている」と目を細めた。
重賞初挑戦となった前走の富士Sは6着だったが「ジョッキー(ルメール)は休み明けのぶんもあったと言っていたし、あそこまで速いペースは経験したことがなかったので」とトレーナー。1000メートル通過が56秒7とマイル戦ではかなりのハイペースを好位で追走したため、さすがに直線で脚が鈍った。だが一方で、激流の中でも先行できるスピードは示した。「スタートもいいし、二の脚もあるので、心配はしていない」と中川師は400メートルの短縮がプラスになる可能性が大きいとみる。
同じく中川厩舎が管理した母マジックタイムは、デビュー時444キロだったが、レースを重ねながら480キロ台まで体を増やし、5歳になってオープン入りして重賞を2勝。牝馬としては遅咲きだった。エターナルタイムも「体質が弱かったので、まだキャリアは浅いですが、ここにきてお母さんと同じで、体が大きくなって成長を感じる」とトレーナーは母に似た良化ぶりに、さらなる伸びしろを見込んでいる。初の右回りや関西への輸送も「特に気にしていない。ここで結果を出せれば、選択肢も広がる」と言葉に力を込めた中川師。初タイトルをつかみ、混迷極めるスプリント路線の主役候補に躍り出る。(松井 中央)
◆国内スプリント路線の現状 昨年の高松宮記念を勝ったファストフォースが引退。スプリンターズSを制したママコチャも1400メートルとはいえ、続く阪神Cで5着に敗れ絶対的な存在にはなっていない。芝6ハロンで重賞4勝のナムラクレアもG1を勝ち切れておらず、王者不在の混戦模様。エターナルタイムのような路線変更組でも、前哨戦の走り次第で一気に高松宮記念の有力馬になる可能性は十分にある。