◆第58回共同通信杯・G3(2月11日、東京競馬場・芝1800メートル)
第58回共同通信杯・G3(11日、東京)で、昨年のJRA賞最優秀2歳牡馬に輝いたジャンタルマンタルが始動する。朝日杯FSから1ハロンの距離延長、初の左回りにも高野調教師は「問題ない」と強調。無傷4連勝で皐月賞(4月14日、中山)制覇に王手をかける。
王者が早くも動き出す。昨年の最優秀2歳牡馬に輝いたジャンタルマンタルが今年初戦に選んだのは共同通信杯。近3年だけでも21年エフフォーリア(皐月賞)、22年ジオグリフ(皐月賞)、23年タスティエーラ(日本ダービー)と出走馬から続々とクラシックホースが出ている出世レースだ。「体も緩みなく(放牧先から)戻ってきました。良くなっています」と高野調教師は順調な調整過程を説明する。
全く底を見せずに頂点まで駆け上がった。デビュー戦、デイリー杯2歳Sは好位から脚を伸ばすと、朝日杯FSは中団から力強く抜け出した。すべて、勝ち馬とは1馬身以上の差。ただ、高野師が完勝続きだった2歳時から表情を引き締め、何度も口にした言葉がある。「これから、距離を延ばしていく時にも、しっかり走れるようにしたい」。
昨年10月のデビュー戦こそ今回と同じ1800メートルだったが、一戦ごとに競馬を覚えてきた今とは状況が違う。1週前追い切りは川田が騎乗し、栗東・坂路で楽々と52秒4―11秒6をマーク。「より成長して、パワーがついたので、その制御ですよね。距離は持っている能力からするとこなします」。動きを見届けた指揮官は現状を冷静に分析した。
ここから皐月賞へ向かうが、その先も視界には入っている。「動きやコンディションに関しては、ジョッキーも『前回より成長している』と言っていました。左回りは問題ないと思います。東京でのG1は目標になると思うので、その確認は十分にしたい」とトレーナー。初の府中でも結果を出し、死角なき王者への道を突き進む。(山本 武志)
◆朝日杯FS優勝馬の共同通信杯 グレード制が導入された84年以降は5頭が出走。すべて1番人気に支持された。88年のサクラチヨノオーは4着に敗れたが、90年アイネスフウジンと94年ナリタブライアンが勝利し、06年フサイチリシャールと19年アドマイヤマーズは2着で連対率は80%。