◆ドバイ・ターフ・G1(3月30日、ドバイ・メイダン競馬場・芝1800メートル)
計7競走に日本馬23頭が出走するドバイワールドカップデー(30日、メイダン競馬場)は、ドバイ・ワールドCなどG1・4競走がJRA海外馬券発売される。ターフには、昨年の出走取消のリベンジを期してドウデュースがスタンバイ。主戦の武豊騎手(55)=栗東・フリー=が熱い思いを明かした。
今年こそ、世界の頂へ。武豊は、ドウデュースの海外G1初制覇がかかるドバイ・ターフに向けて、めらめらと闘志を燃やす。
「朝日杯FS、日本ダービー、有馬記念も勝ったけど、海外ではまだ本来の走りを見せられてない。この馬で世界に挑戦したい」
昨年も同じレースに遠征したが、左前肢ハ行で出走取消。武豊は、“英断”だったと振り返る。
「ショックだったけど、ほっとした部分もあった。もし不安な状態のままレースに行っていたら、あの馬は気がいいから走っちゃうし、本当に壊れていたと思う」
しかし、試練は続いた。復帰初戦の天皇賞・秋(7着)当日、武豊が東京5R騎乗後に右足を負傷。続くジャパンC(4着)も騎乗できなかった。秋3戦目の有馬記念で315日ぶりにコンビ再結成。人馬ともに復活星を挙げた。
「本当に、素直にうれしかった。俺もけがして、ドウデュースも結果を出せなくて、状況的に厳しかった。最後の最後、9回裏に逆転満塁ホームランを打った感じ」
けがや大敗から立ち直れない馬も多いが、ドウデュースは22年凱旋門賞で19着に敗れた後も、翌年の京都記念を圧勝した。そしてグランプリでの復活劇。そこに“すごさ”がある。
「2歳チャンピオンになって、ダービーも勝ってるのに、苦境に立たされることが多い。でもそれを全部、この馬は乗り越えてくれる」
当初はシーマクラシック(芝2410メートル)も候補だったが、今年もターフ(芝1800メートル)に参戦。武豊は、その選択を“最善”と支持する。
「過去のシーマクラシックを見ると、先行する馬があまりいないから、結果的にスローになりがち。折り合いとか休み明けなことを考えると、確実にレースをしやすいのはターフ」
昨年はゲートインすらできなかった。1年がたち、同じ地で、無念を晴らす瞬間が近付いている。
「来年もう1回ドバイに来よう、と(キーファーズの松島正昭)オーナー、(友道)調教師と約束した。今年は、そのぶんもある。忘れ物を取りに行く」(水納 愛美)