【悼む】藤岡康太騎手「帰って子供を風呂に入れないと」マイルCS勝利後に見せた父の顔

JRA通算800勝を達成した藤岡康太騎手
JRA通算800勝を達成した藤岡康太騎手

 昨年のマイルCS・G1を勝利した直後に「さらに頑張りたい気持ちになりました。帰って子供を風呂に入れないと」と話していたことが忘れられない。

 藤岡康太騎手が天国に旅立った。明るい性格で「コータ」「コータさん」と親しまれ、誰にでもわけ隔てなく接してくれたナイスガイ。毎週木曜、ジョッキーに週末の騎乗馬を取材する際は、笑顔で「始めましょうか?」と報道陣に歩み寄り、本当にありがたかった。

 昨年マイルCSをナミュールで勝利。騎乗予定だったライアン・ムーア騎手が当日の京都2Rで落馬負傷し、昼休みに急きょ大役が回ってきた。レースでは落ち着いた騎乗ぶりでラスト200メートルだけで約10頭をごぼう抜き。「ホッとしました」とプレッシャーに打ち勝ち、強心臓ぶりをアピールした。

 一流厩舎から調教を依頼されるなど腕は確か。G1で5番人気以内の馬に乗るのは約8年半ぶりだったが、決して腐らず、献身的に向き合ってきた結果、今思えば競馬の神様がご褒美を用意していたのかもしれない。「若い時に勝たせていただいて、年数が経つごとにG1を勝つ重みを感じていました」と2009年NHKマイルC(ジョーカプチーノ)以来となる14年ぶりの美酒をかみ締めた。

 2020年に結婚し、23年6月には第一子も誕生。遅くまで調教をつけることも多かったが、「早く帰りたいですよ(笑い)」と勝負師の顔から父の顔に変わる瞬間を何度も見た。より責任感が出てきたタイミングでの大仕事だった。先週の火曜日には同期の騎手らが主催して、JRA通算800勝のお祝いをした。子育ても寝る間もないような時期から落ち着き「最近は奥さんと晩酌をするのが楽しみ」と話していたという。天国でゆっくり飲んでください。そして、全人馬の無事を見守ってください。ありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。(中央競馬担当・玉木 宏征)

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