◆第103回凱旋門賞・G1(10月6日、パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)
JRA海外馬券発売対象レースの第103回凱旋門賞・G1(6日、パリロンシャン競馬場)の出走馬とゲート番が3日、確定した。日本調教馬として唯一出走するシンエンペラーの好勝負に、クリスチャン・デムーロ騎手(32)が太鼓判を押した。20年に全兄のソットサスで制した名手は、現地滞在中に2度、追い切りに騎乗。2頭から感じた共通点や状態、馬場適性などを指摘。現地取材を続けるフリーライターの土屋真光氏が本心に迫った。
現地時間9月27日に行われたシンエンペラーの1週前追い切り。騎乗したCデムーロ騎手に感触を尋ねると開口一番「ソットサスとそっくり!」と返ってきた。
性格などは乗った人間にしか分からない部分もある。競馬場での走りは未知数としながらも、偉大な兄との共通点を教えてくれた。
「ソットサスも朝はピリッとしないし、少し遊ぶところがありました。シンエンペラーは愛チャンピオンSの前に乗った時は、まだ少し疲れているかなと思いました。でも、27日は疲れは全く感じませんでした。かなり軟らかかったエーグル(調教場)の芝コースでいい走りをしていたので、本番はとても期待できると思います」
単に疲れが取れただけなのか、環境への慣れがあるのか、それとも別のプラス要素があるのか。
「いい筋肉がつきましたね。こちらの走りに向いた筋肉がついて、その走りもソットサスに似ているんです」
ソットサスは4歳時、愛チャンピオンSで4着に敗れた後に凱旋門賞を制した。3歳で参戦する弟も同じステップレースを使ったことで、さらにチャンスが大きくなったとみている。
「馬場経験という点では(同じ舞台の)ニエル賞でもいいと思いますが、もっとハイレベルな厳しい競馬を通して得られる経験はもっと大事。ソットサスもあの選択がよかったと思っています」
3週後の天皇賞・秋ウィークから、JRA短期免許を取得して、2年ぶりに来日することを明かしたクリスチャン。今年はライバルの背にいるが、この日もダク調整で元気な姿を見せたシンエンペラーへの評価は、想像以上に高かった。(土屋 真光)
3勝目かけ地元フランスのザラケムに騎乗
Cデムーロは20年ソットサス、昨年のエースインパクトに続く3勝目を狙う今年、地元フランスのザラケムに騎乗する。先月29日の追い切りで初コンタクト。「チャンスがあると思います。今年は2000メートル前後を使っていますが、この距離でも好走していますし、むしろいいと思います」と距離延長を歓迎する。
前走の英インターナショナルSは11着に崩れたが「前走はこの馬には馬場が良すぎました。馬場が渋りそうなのもこの馬にとってプラスになるはず」と反撃可能とみる。
◆クリスチャン・デムーロ(Cristian Demuro)1992年7月8日、イタリア生まれ。32歳。16歳でデビューし、11、12年にイタリアのチャンピオンジョッキーに輝く。現在はフランスが拠点。初来日は11年でJRAではG14勝を含む重賞13勝。13歳上の兄はJRA所属のミルコ・デムーロ騎手。