ドウデュース電撃引退 有馬記念ラストラン2日前にまさかの出走取り消し 無念の武豊騎手「仕方ないね」

栗東で最後の調教を終え、引き揚げてきたドウデュース
栗東で最後の調教を終え、引き揚げてきたドウデュース

 有馬記念・G1(22日、中山)で圧倒的1番人気が予想されていたドウデュース(牡5歳、栗東・友道厩舎)が右前肢ハ行のため、出走を取り消したことが20日、発表された。歴代最多のファン投票を獲得したラストランは幻となり、このまま現役を引退することになった。レース当日に行われる予定だった引退式も中止となる。今後は北海道安平町の社台スタリオンステーションで、種牡馬となる予定だ。

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 突然の悪夢だった。ドウデュースは午前7時半頃、栗東では最後となるCWコースでの調教を完了。いつものようにプールへ向かう時に歩様の乱れが発覚した。その後、オーナーサイドと協議した結果、出走取り消しが決定。友道調教師は「有馬も大事な一戦ですが、その後にも大きな仕事が待っています。レースで何かあってもということで、苦渋の選択でした」と種牡馬入りを見据えてのものであると説明した。

 武豊と“二人三脚”で記憶に残る名馬だった。21年にまだ未勝利だった朝日杯FSを、翌年には日本ダービーを制覇。右足の負傷から復帰したばかりの昨年の有馬記念では、人馬ともに劇的な復活Vを飾った。今回は史上3頭目となる秋の古馬G13連勝や、歴代最多獲得賞金の更新などさまざまな記録がかかっていたグランプリ。しかし、思わぬ落とし穴が待っていた。「こういうことは初めて。自分から『そろそろいいんじゃないの』という感じなのかな」と友道師は説明する。

 栄光の一方で23年のドバイ・ターフでは現地で出走取消など、数多くの挫折を味わい、立ち上がってくる姿も多くのファンに愛された。今年のファン投票では歴代最多の47万8415票を獲得。トレーナーは「ファンの皆さんに本当に申し訳ない」と何度も謝罪しながらも、「最後の最後にドウデュースらしいのかな」とも口にした。レース当日の引退式は中止。しかし、「夏の函館や札幌のパドックでお披露目できれば、とオーナーサイドと相談しています。待っていてください」とファンにメッセージを寄せた。

 主戦の武豊にも電話で報告。「仕方ないね」と返してきたレジェンドに「来年はドウデュース以上の馬で頑張りましょう」「4年後にドウデュースの子供が帰ってくると思うので、その時はお願いします」と伝えた。今後は25日に栗東を出発し、種牡馬としてけい養される北海道へと戻る予定。激動の競走馬生活に別れを告げ、偉大なDNAを早ければ28年にデビューする子供たちに受け継いでいく。

ハ行 歩様に異常をきたしている状態のこと。脚に体重をかけたときに痛みを伴う支柱ハ行、脚を上げたり前に進む時に痛みを伴う懸垂ハ行、その両方で痛みが出る混合ハ行がある。原因としては骨、腱(けん)、関節、筋肉、神経などの異常が考えられる。明確でない場合は、推測される部位によって右前肢ハ行、左後肢ハ行などと呼ばれる。

ドウデュース 父ハーツクライ、母ダストアンドダイヤモンズ(父ヴィンディケーション)。栗東・友道康夫厩舎所属の牡5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算16戦8勝(重賞6勝)。総獲得賞金は17億7587万5800円。21年のJRA最優秀2歳牡馬。G1勝ち鞍は朝日杯FS(21年)、日本ダービー(22年)、有馬記念(23年)、天皇賞・秋、ジャパンC(24年)。馬主は(株)キーファーズ。馬名の「ドウ」は英語のDo(する)、「デュース」はテニス用語のDeuce(勝利目前)。

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