
◆第59回共同通信杯・G3(2月16日、東京競馬場・芝1800メートル、良)
第59回共同通信杯・G3(東京)は1番人気のマスカレードボール(坂井)が重賞初勝利を飾り、クラシック初戦の皐月賞・G1(4月20日、中山)を視野に入れる。
着差以上の強さで大きな伸びしろを感じさせた。4角3番手からスパートしたマスカレードボールは、直線の半ばで先頭に躍り出る勢い。少しふわっとする面を見せたが、内から伸びるカラマティアノスに馬体を併せていくと、再び闘志に火がついて追い比べの末に1馬身差で重賞初制覇を飾った。初コンビの坂井は「ちょっと直線を向いて余裕があり過ぎてブレーキをかけるところはあったが、内が来たら、もう一回頑張ってくれた。それだけ余裕がある勝ち方でした」。7年連続重賞Vとし、フォーエバーヤングで挑む今週末のサウジCに自ら勢いをつけた。
デビュー2連勝でアイビーSを制したが、前走のホープフルSは見せ場なく11着。中間からテンションが高く、秘める能力は高くても、気性面や操縦性の難しさが課題として露呈していた。そこで厩舎はストレスをかけ過ぎないようにするなど、精神面に注意を払って調教を工夫。美浦に駆けつけ、1週前追い切りで素質を感じ取っていた鞍上は「返し馬にいって改めていい馬と感じた。持っているものは間違いなくG1級の馬だと思う」と、うなずいた。
半姉マスクトディーヴァは24年の阪神牝馬Sなど重賞2勝を挙げ、G1戦線でも活躍した。血統の良さは折り紙付きで、生産者の社台ファーム・吉田照哉代表は「うちの牧場(の現3歳世代)で一番いい馬と思っていたくらいで、走ってよかった。東京の方がいいと思うけど、皐月賞に行くでしょう」と目を細めた。
レースレコードタイの1分46秒0でクラシックへの登竜門を制し、昨年の最優秀2歳牡馬のクロワデュノールとの再戦へ。手塚久調教師も「ポテンシャルはG1級かもしれないし、頑張ります」と期待は十分。さらなる高みへ道筋が見えた。(坂本 達洋)