
世界の芝2400メートル(12ハロン)戦線を占う上でも重要な一戦、G1ドバイシーマクラシックが5日に迫った。早速、今年の出走メンバーをチェックしていこう。
過去3年のドバイシーマクラシックを振り返ると、連対馬には共通点があった。①芝2400メートル超のG1勝利実績、②今年初戦であること、③逃げ・先行脚質の3つだ。傾向のまとめとしては、距離適性と能力を担保するG1実績があり、前哨戦を使わずフレッシュな状態で臨み、前のポジションで競馬ができる馬が有利となる。
ドゥレッツァ(牡5歳、美浦・尾関知人厩舎)は、3つのファクターを全て満たす。菊花賞馬で、ここが今年初戦。前哨戦分析にも書いたとおり、前走ジャパンカップ(2着同着)では向こう正面で早めに動いてハナに立ち、ドウデュースを相手に最後まで粘った。あの先行力は当レースでも大きな武器になるだろう。
レベルスロマンス(セン7歳、首・アップルビー厩舎)は、2度のBCターフ勝利を含めて芝2400メートル級のG1を7勝。先行力を生かして快勝した昨年の当レースも記憶に新しい。今年2戦目ながら、カタールのG3アミールトロフィー(1着)からの転戦は昨年と同じパターン。7歳という年齢に懸念はあるが、近走のレースぶりは衰えを感じさせず、史上初の連覇達成も十分狙える。
ジアヴェロット(牡6歳、英・ボッティ厩舎)は、昨年のG1香港ヴァーズ以来の休み明け。その香港ヴァーズでは、最終コーナーで接触する不利を受けながらも鋭い末脚で差し切った。脚質は差しだが、鮮やかな決め手は魅力十分。
カランダガン(セン4歳、仏・グラファール厩舎)は、昨年のG1英インターナショナルSとG1英チャンピオンSで2着と実力がある。ただし、今回は芝2400メートル級のG1初出走で、実績面では上記3頭に見劣る。激しい気性の持ち主だけに、道中の折り合いがカギになる。脚質は差し・追い込み。
シンエンペラー(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)は、今年初戦の前走G2ネオムターフカップを逃げ切り勝ち。G1勝利こそまだないが、ジャパンカップ2着(同着)、ダービー3着の実績がある。まずはスタートを決めて、ハナを取りたいところだ。
ダノンデサイル(牡4歳、栗東・安田翔伍厩舎)とチェルヴィニア(牝4歳、美浦・木村哲也厩舎)は、芝2400メートルのG1ウイナー。前者は逃げ・差し自在の脚質で、中団より前のポジションで流れに乗れれば面白い。後者は前走の京都記念でまさかの9着。渋った馬場が合わなかったにしても、やや不安を残す内容だった。相手が大幅に強化される今回は、立て直しが急務だ。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。4月5日(土)24時からラジオNIKKEI第1で放送される「ドバイワールドカップデー実況中継」に出演予定。