【皐月賞】ソールオリエンス、記録ずくめの勝利!史上最少キャリア3戦3勝の無敗で1冠

ソールオリエンス(中央)が豪脚一閃(いっせん)。タスティエーラ(手前左)以下を圧倒して無敗の皐月賞馬に輝いた(カメラ・高橋 由二)
ソールオリエンス(中央)が豪脚一閃(いっせん)。タスティエーラ(手前左)以下を圧倒して無敗の皐月賞馬に輝いた(カメラ・高橋 由二)
高々とステッキを掲げ、1冠をアピールする横山武とソールオリエンス
高々とステッキを掲げ、1冠をアピールする横山武とソールオリエンス

◆第83回皐月賞・G1(4月16日、中山・芝2000メートル、重)

 3冠初戦の第83回皐月賞・G1は16日、中山競馬場で行われ、2番人気のソールオリエンス(横山武)が、1989年(ドクタースパート=不良)以来の重馬場をものともせず、上がり最速の豪脚で差し切り、史上20頭目の無敗の皐月賞馬に輝いた。3戦目での戴冠(たいかん)は2歳戦が始まった46年以降、史上最少キャリア。日本ダービー(5月28日、東京)では、20年コントレイル以来となる8頭目の無敗の春2冠を目指す。

 大外をぶっこ抜いて、混戦に断を下した。ソールオリエンスが、46年以降の史上最少キャリアとなる3戦3勝の無敗で1冠をもぎ取った。京成杯勝ち馬の勝利は史上初、重馬場以上での勝利も89年以来と記録ずくめの勝利で歴史に名を刻んでみせた。

 21年12月のホープフルS以来、約1年3か月ぶりのG1タイトルを手にした横山武は、左手を高々と掲げ、喜びを爆発させた。「この馬の強さは僕が一番知っている。2年ぶりにG1を勝ったし、これを超える喜びはない」と勝利の美酒に酔った。

 試練を乗り越えた。前日の雨で内はかなり荒れ、差し馬には厳しい最内枠発進。道中は15番手を人馬で呼吸を合わせ、馬場を選びつつ進んだ。4角では前と大きく離れた絶望的な17番手だったが、迷わず外に導き、飛ぶように伸びて前を一気にのみ込んだ。「もう少し前でと思ったが、行き脚がつかず切り替えて馬のリズムで運ぶことを決めた」と鞍上の好判断も光った。

 昨年、横山武はG1で2着1回3着3回とタイトルから遠ざかった。なぜ勝てない―。苦闘したが、昨年8月に「シャーガーカップ」の世界選抜メンバーとして英国に渡り、名手たちを間近で見て自身の糧にした。「何が足りないんだと毎日、毎日、研究してそれでも結果が出なかったけど、ここでやっと結果が出た。昨年は結果は良くなかったけど内容は濃かった」。

 トンネルをくぐり抜けた24歳は日本ダービーで2冠取りに挑む。2年前、同じく無敗で皐月賞を制したエフフォーリアで挑み鼻差の惜敗。馬上で大粒の涙を流したことは忘れてはいない。「大きい舞台で僕の技術を上げた姿を披露できたら」。5大クラシック制覇にダービーを残すのみの手塚調教師も「あとは上積みしかないし、東京はプラス。一層、厩舎一丸となってそれに向かっていきたい」と自信の表情。もう混戦とは言わせない―。キタサンブラック産駒初のクラシックホースが府中で堂々、主役を張る。(松末 守司)

【吉田照哉代表「驚きました。騎手は『馬が化け物だった』と言っていましたよ」】

 ○…ソールオリエンスの圧巻のクラシック制覇に、社台ファームの吉田照哉代表は「驚きました。騎手は『馬が化け物だった』と言っていましたよ」と期待以上の走りだった様子。今後について「母の父はモティヴェイターですから、当初から距離が延びていいダービー向きのタイプと見ていました」と2冠を見据えていた。1歳下にはキズナ産駒の半弟がいる。

 ◆ソールオリエンス 父キタサンブラック、母スキア(父モティヴェイター)。美浦・手塚貴久厩舎所属の牡3歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算3戦3勝。総獲得賞金は2億7269万7000円。主な勝ち鞍は京成杯・G3(23年)。馬主は(有)社台レースホース。

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