【凱旋門賞】能力分析 今年は混戦模様、英国ブックメーカーの上位人気馬の能力を分析

 G1凱旋門賞が10月6日に迫った。今年は極めて混戦模様。さっそく英国ブックメーカーの上位人気を追いながら有力馬をチェックしたい。

 ルックドゥヴェガ(牡3歳、仏・レルネール厩舎)は重馬場のG1仏ダービーを無敗で制覇。今回対戦する3着ソジー(牡3歳、仏・ファーブル厩舎)に2馬身あまりの差をつける完勝を収め、一躍G1凱旋門賞の最有力候補となった。ところが、ひと夏を越して迎えた前走のG2ニエル賞ではソジーに3馬身半差をつけられて3着。少頭数、初の2400メートル、初めて逃げる展開と色々重なったとはいえ、案外な結果に終わり不安を残している。

 ニエル賞で一転して株を上げたのがソジー。G1凱旋門賞と同距離、同コースのG1パリ大賞とG2ニエル賞を制し、道悪も苦にしない。管理するのは当レース最多8勝の伯楽アンドレ・ファーブル調教師と好材料がそろう。懸念材料はルックドゥヴェガやニエル賞2着、パリ大賞3着のデリウス(牡3歳、仏・ルジェ厩舎)もそうだが、古馬と初対戦となることだろう。

 シンエンペラー(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)とロスアンゼルス(牡3歳、愛・Aオブライエン厩舎)については前哨戦分析をご覧いただきたいが、ともにG1愛チャンピオンSでエコノミクス、オーギュストロダンと欧州トップクラスを相手に善戦。能力の裏付けとして確かな内容だった。

 ブルーストッキング(牝4歳、英・ベケット厩舎)は芝10ハロンの愛G1プリティポリーSでG1初勝利。英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは、淀みない流れのタフなレースながら2着。驚異的な走りを見せたゴリアットには完敗だったが、3着レベルスロマンス、5着オーギュストロダンと欧州中長距離の一線級に先着した。本番と同舞台の前走G1ヴェルメイユ賞では2番手から早め先頭に立つと、アヴァンチュール(牝3歳、仏・フェルラン厩舎)の追い上げを完封。ここは追加登録料12万ユーロ(約1920万円)を支払っての参戦となる。

 アルリファー(牡4歳、愛・Jオブライエン厩舎)は独G1ベルリン大賞を5馬身差で圧勝。初の芝2400メートルを難なくこなした。昨年の仏G2ギヨームドルナノ賞ではのちのG1凱旋門賞馬エースインパクトから3/4馬身差の2着、2走前の英G1エクリプスSではG1英ダービー馬シティオブトロイから1馬身差の2着と強豪相手に健闘。地力上位の一頭だ。

 ザラケム(牡4歳、仏・レニエ厩舎)は仏G2アルクール賞の勝ち馬で、英G1プリンスオブウェールズSではオーギュストロダンに3/4馬身差まで迫る2着。成績が安定しない面はあるが、鞍上が当レース2勝の名手クリスチャン・デムーロなら怖い。ファンタスティックムーン(牡4歳、独・シュタインベルク厩舎)は昨年11着。追加登録料を投じての出走はいささか急仕上げだったか。独ダービー、バーデン大賞とG1・2勝の実績もさることながら、昨年のG2ニエル賞で鮮烈な勝ちっぷりを披露したことが印象深い。良から稍重の馬場なら押さえておきたい。

◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。

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