◆NHKマイルC追い切り(5月3日、栗東)
最初は整えるための微調整だと思っていた。ドルチェモアは栗東・坂路でリレーションシップ(6歳オープン)を1馬身追走。ラスト50メートルでわずかに手綱を動かす程度で、馬体を並べるようにゴールを通過した。時計は55秒1―12秒1。「時計を出そうと思えば、出せる馬。輸送も考えて、テンションを高くしたくなかったですから。ちょうどよかったんじゃないですか」。須貝調教師の言葉に一度は納得した。
しかし、この調教にさらなる“意図”があるのではないかと思ったのは、レースプランの話を聞いた時だ。「前走みたいにペースメーカーにならず、理想としては追い出しを我慢できるような位置で競馬してもらった方がいいと思います」
前走のニュージーランドTは逃げる形で、最後は7着に沈んだ。振り返れば、2歳時の重賞2勝はともに好位から脚を伸ばす形。特に大逃げを打ったグラニットとラスト1ハロンで5馬身近い差があったサウジアラビアRCは、2番手からすごみすら感じる末脚でねじ伏せた。この最終調整は理想形への“予行演習”のように感じられたのだ。
この日は須貝師から「最初からここを狙っていたから」と何度も聞いた。その言葉通り、新コンビを組む三浦を2週連続で騎乗させるなど調整も入念。前哨戦の苦い経験を糧にした2歳王者は万全の態勢を整えている。(山本 武志)