2020年の阪神ジュベナイルフィリーズで白毛馬として史上初のG1制覇を果たし、21年桜花賞と22年ヴィクトリアマイルのG1計3勝を挙げたソダシ(牝5歳、栗東・須貝厩舎)が1日、電撃引退を決めた。6月の安田記念で7着に敗れた後、脚部不安を発症。くしくも全妹のママコチャ(牝4歳、栗東・池江厩舎)がスプリンターズSでG1初勝利を挙げたこの日、希代のアイドルホースが現役生活に別れを告げた。
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白毛のアイドルが躍動する姿はもう見られない。須貝調教師はソダシが6月の安田記念(7着)後に脚部不安を発症したと公表。この日、引退発表に至ったのは大きな理由があった。「ちょうど妹のママコチャがG1を勝ったことで、金子オーナーから『ちょうどいいタイミングでバトンを渡せるんじゃないか』というお話がありました」。一つ下の妹が史上9組目となる全きょうだいでのG1制覇を実現。一つの節目となった日に、静かに競走馬生活の幕を閉じた。
真っ白な馬体だけでなく、走りでもファンを魅了した。2歳7月のデビューから白星ロードを続け、4戦目の阪神JFで白毛馬初のG1制覇。続く桜花賞は1分31秒1の驚異的なレコードVを飾った。その後も4歳時に牡馬相手のフェブラリーSで牡馬相手に3着に入るなど、ダートとの“二刀流”でマルチな強さも発揮。古馬となってからは昨年のヴィクトリアマイル1勝のみだったが、常に上位争いを続け、競馬ファンは“つよかわ”ホースの一挙手一投足に目を奪われた。
常に注目を集めてきた約3年。JRA・G1を15勝もしている名トレーナーの須貝師でも、重責を感じながらの日々だったという。「ソダシは本当にファンの皆さんに愛されてきたと思います。白毛として、次々と歴史的快挙を成し遂げてくれました。世界的にも注目される存在になり、本当によく頑張ってくれました」と最大限の賛辞で愛馬をねぎらった。
今後は北海道のノーザンファームで繁殖牝馬となる予定。新たな道がもうすぐ始まる。「今後はお母さんとして、また新しい伝説を作ってくれればと願っています」と須貝師。記録と記憶に残る白い伝説を残し、歴史的なアイドルホースがターフに別れを告げた。(山本 武志)
ソダシ 父クロフネ、母ブチコ(父キングカメハメハ)。栗東・須貝尚介厩舎所属の牝5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算16戦7勝。総獲得賞金は6億2923万4000円。重賞は20年阪神JF、21年桜花賞、22年ヴィクトリアマイルのG13勝を含む6勝。馬主は金子真人ホールディングス(株)。馬名はサンスクリット語で「純粋、輝き」。