【2023年レース回顧・玉木】重賞初Vアイアンバローズの陰に黒野助手の「ハッピー」仕上げ

ステイヤーズSで重賞初勝利を挙げたアイアンバローズ
ステイヤーズSで重賞初勝利を挙げたアイアンバローズ

◆ステイヤーズS・G2(12月2日、中山11R・芝3600メートル、16頭立て=良)

 19年11月に入社し、5年目に突入した。私が報知新聞社に入るきっかけをつくってくれた恩人、黒野助手がステイヤーズSから担当しているアイアンバローズ(牡6歳、栗東・上村洋行厩舎、父オルフェーヴル)。調教にはよく乗っていたが、普段から世話するのは今回が初めてだった。

 アイアンバローズは、21年ステイヤーズS→22年阪神大賞典とG2で続けて2着に入ったこともあったが、23年シーズンはダートを試したり迷走していた。今年のステイヤーズSの直前に取材した際、黒野助手は「近走は折り合いがついているのか、走るのをやめているのか分からない感じだったけど、前回(京都大賞典11着)見ていた感じでは、コース入りをごねたりちょっと走るのを苦しがっていた印象」と指摘。馬が嫌がるコース追いをやめて速い調教は坂路中心に切り替え、そのぶんコースでは普段からキャンターで4周するなどスタミナ強化に努めた。「アイアンが走りたいところを、ハッピーに走れるように調教。闘志が消えた感じはない」など、ここでは書き切れないほどのアツいコメントに◎を託した。

 レースは2周目でハナに立ち、引き離しての逃げ。スタミナ勝負に持ち込んだ石橋脩騎手の好騎乗も光り、待望の重賞初制覇を飾った。すべてかみ合うとはこのことで、キングカメハメハやベルシャザールを手がけた腕利きも、13年ジャパンCダート・G1(ベルシャザール)以来の担当馬の重賞Vに喜びを爆発させた。

 次走の有馬記念(11着)は包まれて不完全燃焼だったが、黒野助手は「思ったようなレースはできなかったけど、これも競馬。あんな展開でも以前みたいにやめないで最後まで走っているし、脩くん(石橋騎手)も『メチャクチャ馬良くなってます』と絶賛してくれたから、必ず今後の自分の得意な距離で生きてくる!」と前を向いた。24年も個性派から目が離せない。(玉木 宏征)

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