最後まで、プライドは失わない。今月末で騎手を引退する川島は「プロスポーツの中で、競馬だけ『騎手』という。特別に、『選手』という言葉を使わない職業だということを、ずっと誇りに思っていました」と熱弁。「漢字の意味でも、『馬に、大きな可能性をかける手』。誇らしい言葉」と、真っすぐな瞳で語った。
自身の代表馬といえばオースミハルカだ。03、04年のクイーンSを連覇し、04年の府中牝馬Sと手綱を執って重賞3勝。G1では04、05年のエリザベス女王杯で、ともに2着(5番人気)と好走した。「その子供たちで競馬できたことがうれしかったです」と産駒11頭のうち8頭に騎乗し、オースミイチバンで交流重賞を2勝した。24日の阪神5Rにハルカの娘のナリタマフディーがスタンバイしており、「用意していただけるのはうれしい。関係者に感謝しています」と笑顔を見せた。
JRAでは今週がラストだが、27日に名古屋で行われる地方交流競走に騎乗予定。自身とコンビを組んで19年の関屋記念で2着など、重賞でも活躍したミエノサクシードの息子のミエノソニックで臨む。「一頭一頭、その馬の能力を出し切る騎乗を心がけて競馬に向かいたい」。静かに闘志を燃やし、「騎手」川島信二を全うする。(水納 愛美)
◆川島の騎乗馬
【土曜阪神】
4R デルママントラ
5R ナリタマフディー
【日曜阪神】
1R ネバーモア
4R デルマエウロパ
3R レオボヌール
8R ピジョンブラッド
◆川島 信二(かわしま・しんじ)1982年11月24日、東京都生まれ。41歳。01年3月に栗東・安藤正敏厩舎からデビュー。03年小倉大賞典でマイネルブラウに騎乗し、重賞初制覇。JRA通算341勝、重賞5勝。騎手引退後は栗東・庄野厩舎で調教助手となる。身長160センチ、体重50キロ。