【こちら日高支局です・古谷剛彦】九州1歳市場、活気あるセリで売却総額前年比増 若い生産者も続々

最高価格で落札されたスマイルヴィオラ2023
最高価格で落札されたスマイルヴィオラ2023

 国内最初の1歳市場となる九州1歳市場が18日、鹿児島県のJBBA九州種馬場で開催された。前日は仮設テントの一部が崩れるほどの強い雨風があり、セリ当日も午前中は少し雨がぱらつく時間もあった。しかし、午前11時から上場馬の展示が始まると、天気が一気に回復し、九州らしい蒸し暑さが戻った。

 19年に340万円(金額は税別)で取引されたヨカヨカが、21年北九州記念を制覇。九州産馬はその後も、イロゴトシが中山グランドジャンプを連覇するなど、九州産限定競走以外でも大舞台に出走する馬も珍しくなくなった。生産頭数も少しずつ上がり、約100頭が生産されるまでに活気を取り戻してきた。その背景に、若い生産者が九州で牧場を始める人が増え、今年の上場馬には、昨年からセールに参加している宮崎・ホースファームJinmuが2頭、唯一の生産馬が初のセリ上場となる鹿児島・吉永彩乃さんの馬にも、地元メディアの関心が集まった。

 上場頭数が31頭に対し、購買登録が116人(前年比14人増)、そのうちオンラインでの参加希望者は22人と、セリへの参加者が増えるとともに、最初から活発な競り合いが展開された。売却総額は7290万円(前年比1500万円増)、売却率は71%(前年比11ポイント増)といずれも前年を大きく上回った。平均価格は約331万円と、近2年より10万円ほどの微増だったが、明るい話題の多いセリに、場内の雰囲気も非常に良かった。

 最高価格はスマイルヴィオラ2023(牡)の760万円で、岡浩二氏が落札した。九州に移ってから人気種牡馬となっているネロの産駒で、今回の上場馬の中でも馬格に恵まれ、多くの購買者の目を引いていた。スマイルヴィオラ2023は、ホースファームJinmuの生産馬で、代表の福永拓也さんも満面の笑みを浮かべていた。福永さんは馬術の選手で、もともとは競走馬の休養牧場として営んでいたが、「九州から世界を目指そう」と、あるオーナーから声を掛けられ、生産を始めるようになったそうだ。吉永彩乃さんの生産馬であるレモンソーダ2023(牡、父スクワートルスクワート)は、150万円で竹原孝昭氏が落札した。初めてお産を経験した馬をセリに上場し、取引された瞬間は、会場は温かい雰囲気に包まれた。

 佐賀競馬場で開催されていた、2歳トレーニングセール時代に九州市場を訪れたことはあるが、鹿児島で行われる1歳市場は、私自身も初めてだった。若い生産者が増えつつあるのは、馬業界にとって大変意義がある。その方々に触れることができ、短い時間の鹿児島だったが、時間をつくって訪れることができたのは良かった。(競馬ライター)

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