◆第65回宝塚記念・G1(6月23日、京都競馬場・芝2200メートル)
G1馬の復権を目指して打てる手を打つ。23年の皐月賞Vを最後に白星から遠ざかっているソールオリエンス。淀の舞台で巻き返しへ、手塚調教師は「競馬に一番いい状態で使えるようにしたい」と調整方法に工夫を凝らしてきた。
これまで水曜日は美浦・Wコース、週末は坂路で追い切りというパターンだったが、この中間はWコースのみで速い追い切り、と初めて変えた。指揮官の狙いは「調教で動いてしまうタイプで、やり過ぎてしまって反動がきていたのかなという反省はある」と後肢に疲労を残さないこと。1週前はWコースで嶋田(レースは横山武)が騎乗し、びっしりと追って5ハロン66秒4―10秒8で僚馬に1馬身先着。嶋田は「道中でハミをとるようになっていて、抱えながら4角を回れている」と前向きさに手応えだ。
舞台条件も好転する。ブリンカー初着用で臨んだ前走の大阪杯は、3角手前から前へ仕掛けるなど内回りコースを念頭に置いた作戦を選択したが、伸びひと息で7着に終わった。「ブリンカーとか、こっちで考えすぎて、馬が動きたいタイミングで動いた方がいいのかなと思う」と手塚師が言えば、担当の名畑助手は「輸送はクリアしたのですが、競馬場外の音が届きやすい馬房で当日にイレ込んでしまって」と馬体重10キロ減の原因を明かす。その点でも周囲が静かな京都替わりは、環境面でプラス材料だ。
京都コースは昨年の菊花賞3着以来だが、中距離の今回の方が力は発揮しやすい。「勝負にいこうと思ってつくっています」と手塚師。指揮官の言葉には意地が宿っている。(坂本 達洋)