◆第69回有馬記念・G1(12月22日、中山競馬場・芝2500メートル)
暮れのグランプリ、第69回有馬記念・G1(22日、中山)でドウデュースのカウントダウン連載「ザ・ファイナル」は、数々の名馬を育ててきた友道調教師(61)=栗東=が登場。
国内外でG1・24勝を誇る西の名門で、ドウデュースは異彩を放つ存在だ。友道調教師は、過去に手がけた2頭のダービー馬を引き合いに出し、「マカヒキ、ワグネリアンとは違う」と言い切った。
一番の差は、体調の安定感だ。「どの馬でも『え、どうしよ』って瞬間があったけど、この馬に関してはない」。だからこそ、調教の方針もぶれなかった。乗った後はプール。1週前追い切りで武豊が騎乗し、当週は前川助手。「(スタッフに)アドバイスをする必要もないし、今やっていることをずっとやっていけば、好調なところで安定する」と、スタイルを確立することができた。
22年の凱旋門賞では本来の活気がなく、19着と大敗した。レース後の“残念会”。落ち込む松島オーナーに、「来年はドバイに行きましょう」と前向きな言葉をかけた師の内心は「無理でしょ」。しかし1週間の検疫を終えた後、もう馬体の張りが戻っていた。「有馬でも行けんじゃないの?」驚異的な回復力を目の当たりにした瞬間だった。
健康面とは裏腹に、成績は浮き沈みが多かった。しかし、チームがバラバラになったことはない。「負けたときのことは、もうすぐ忘れてる。ある程度、敗因がはっきりしてるしね」。勝っても負けても、レース当日の夜は武豊や松島オーナーと食事をするのが恒例。喜びも悔しさも共有しながら、前だけを向いてきた。
G1・5勝は管理馬で最多。牡馬で史上初の、2歳から4年連続のG1勝利も挙げた。「ハーツクライ(産駒)で5月生まれで、2歳の9月からデビューして、それも走るってなかなかいない。2歳G1を勝つような馬じゃない」。秋古馬3冠に向け、この日も栗東・CWコースからプールに向かった姿に「本当に元気。すごい」と感服した。
ドウデュースはスター軍団の中のエース。「さみしさというか『第2、第3のドウデュースを見つけないと』という気持ちの方が大きい」。後継者を望みつつも「こんな馬いないと思うよ。長く活躍して、本当に無事是名馬」と、その傑出ぶりに賛辞を贈る。コンディションに不安はない。あとは、愛馬を信じて送り出すだけだ。(水納 愛美)
◆友道 康夫(ともみち・やすお)1963年8月11日、兵庫県生まれ。61歳。浅見国一厩舎、松田国英厩舎で調教助手を務め、02年11月に栗東で開業。JRA通算758勝で、重賞は71勝(うちG1は22勝)。日本ダービー3勝は歴代2位タイで現役最多。