
22年の札幌2歳Sと23年のクイーンSをドゥーラ(父ドゥラメンテ)で勝った、斎藤新騎手=栗東・フリー=が、3月26日に引退が発表された同馬について取材に応じた。
23年の秋華賞(4着)の後に屈腱炎を発症し、再びターフに姿を見せることはかなわなかった。26日の朝、管理していた高橋康之調教師=栗東=から一報を聞き、「みんながもう1回、コンビを見たかったとか好きだったと言ってくれたり、メッセージをもらって、僕にとってはそう思ってもらえる1頭でした。G1を勝てるかもと、夢を見させてくれた馬でした。新馬から乗せてもらって、競馬の面白さや難しさ、大きな舞台での経験、たくさんのことを学ばせてくれた馬でした」と思いをはせた。
一番、印象に残っているレースは23年のクイーンS(1着)。阪神JF(6着)の後、チューリップ賞と桜花賞は戸崎圭太騎手が騎乗し、いったんはコンビが離れたが、オークスで15番人気ながら3着に導き、継続騎乗が決まった。斎藤騎手にとっては前年9月19日(モントブレッチア)以来となる51キロでの騎乗。当週は一日一食、サラダだけという生活だった。
「減量も頑張りましたし、『ドゥーラが一番すごいぞ』とすごく自信を持って乗り、馬もしっかりこたえてくれました。まだやれるんだぞと再確認させてくれました」と会心の一戦を振り返る。
今後は生まれ故郷のグランデファーム(北海道浦河町)で繁殖牝馬になる予定。
「まずはお疲れ様と言いたいです。牧場の方や関係者が必死に治療してくれて、もう1回、走れるんじゃないかとワクワクさせてくれました。こういう形になってもちろん残念ですが、第二の馬生があります。レース中のアクシデントなどでなく、無事にお母さんになれると聞いて正直、ホッとしています。2歳の頃はやんちゃでしたが、最後はだいぶ大人になってすごくかわいい馬でした。絶対にいい子を産んでくれると思います。夏に会いに行けたらと思います。子供に乗れることを楽しみに、騎手として向上していきたい。今はゆっくり見守ってほしいです」と夢の続きを楽しみにしていた。