◆フェブラリーS追い切り(15日、美浦トレセン)
反撃の態勢は整った。昨年の2着馬テイエムサウスダンはルメールを背に美浦・坂路で53秒1―12秒6。鞍上のゲキに鋭く応えると、併せた内カランドゥーラ(5歳3勝クラス)、外シャーンゴッセ(3歳未勝利)を突き放した。実は自らが志願しての最終追い切り騎乗。「小さなブリンカーを使ってみたけど、最後まで集中して走っていたね。動きはとても良かった」。この東京開催、3週間で18勝と圧倒的なペースで勝ち星を積み重ねる名手が、確かな手応えを口にした。
前走の根岸Sは直線で失速し14着と大敗。昨年制したレースで屈辱を味わった。「止まるのが早かった。頑張らない感じがあった」と初騎乗だったルメールは振り返る。蛯名正調教師も「前が開くのを待ちすぎて、馬が走る気をなくしてしまった。普通に走ればあんなことはないよ」と力負けではないことを強調した。
だからこそ、調教師としては初のG1となる大舞台を前にしても表情は明るい。「とにかく、この馬の火を消さないようにだね。クリストフ(ルメール)にはチャッカマンを持たせようかな」と冗談を交えながらも、伝わってくる強い闘志。大舞台を知り尽くすコンビが、週末の府中で逆襲へ打って出る。(角田 晨)