◆第74回東京新聞杯・G3(2月4日、東京競馬場・芝1600メートル)追い切り=1月31日、栗東トレセン
第74回東京新聞杯・G3(4日、東京)の追い切りが31日、東西トレセンで行われた。昨年の秋華賞2着以来となるマスクトディーヴァは栗東・坂路を軽快な脚取りで真っすぐに駆け上がり、成長を感じさせた。第64回きさらぎ賞・G3(同、京都)はファーヴェントが新コンビの川田を背に栗東・坂路で追走併入し、好仕上がりをアピールした。
進化は一目瞭然だった。マスクトディーヴァは栗東・坂路を単走。整えるように軽く手綱を動かすと、軽快なフットワークで加速する。G1戦線で好走した昨秋でも左へもたれるような面を見せていたが、この日は違った。ぶれることなく、しっかりとしたフォームで直線を描くように登坂。全く無理せずに加速ラップを刻みつつ、53秒5―12秒0でまとめた。
辻野調教師は「以前より真っすぐ走れるようになって、大人になってくれたかなと思います」。1月中旬に帰厩後、調整過程の中で変化を感じ取っていた。「バランスが取れるようになってきました。体幹がしっかりしてきたと思います」と冷静に分析する。
大切に育ててきたからこそ成長がある。リバティアイランドの2着だった秋華賞後。「疲れはなかったんです」と振り返るが、放牧に出した。もともと、自身が角居厩舎の助手時代に調教にも乗り、5歳時にG1初制覇と遅咲きだったルーラーシップの産駒。1歳時に初めて見た時も、きゃしゃな馬体に「ゆっくりでいい」と育成方針を決めた。キャリアはわずか5戦。無理せずに、本格化の時を待っていた。
今回は東京コース、マイル、長距離輸送と初物尽くしの一戦。今春のヴィクトリアマイル(5月12日、東京)を見据えての参戦だ。「競馬で、こちらが毎回驚かされています。持ち味はずっとここで仕事をしていても見ることができないような一瞬で加速する脚です」。重賞3勝の祖母ビハインドザマスクをほうふつさせる切れ味を誇り、昨秋のローズSは未完成の状態で1分43秒0の日本レコードV。規格外のポテンシャルに磨きをかけた“歌姫”が、前哨戦から最上級の輝きを放つ。(山本 武志)