◆第41回エプソムC・G3(6月9日、東京競馬場・芝1800メートル)
不屈の精神力でターフに戻って来た。第41回エプソムC・G3(9日、東京)に挑むヴェルトライゼンデは昨年の大阪杯(9着)の後、両前脚の屈腱炎を発症。2度目の1年以上の休養となったが、闘志に衰えはない。「もう(現役生活は)ないかなと思いましたが、よく戻って来てくれました。精神力の塊。すごいと思います」と橋口助手は頭の下がる思いだった。
コントレイル世代の7歳牡馬。重賞2勝に加え、日本ダービー(20年)、ジャパンC(22年)で3着になっており、実績は断然だ。右前脚の屈腱炎で約1年5か月ぶりで挑んだ22年の鳴尾記念を制しており、再現を目指す。同助手は「休み明け感はありますが、気持ちが戻ってきている。(周囲を)威嚇するのも変わっていないし、気持ちは5歳くらい」と若々しさに苦笑い。ここまで14戦と年齢の割にレース数は少なく、肉体面ではフレッシュ。「相変わらず最高の乗り心地です」と抜群の感触を伝えた。
入念に乗り込んできて、5月30日の1週前追い切りで栗東・坂路を51秒3―12秒3。上々の時計をマークしたが「欲を言えば、もう一段上がってほしい」。ジャッジは慎重だったが、最終追い切りできっちり仕上げるつもりだ。「長く無事にいけたら」と今後の活躍を願った同助手。21年天皇賞・春、19年菊花賞とG12勝のワールドプレミアなどを半兄に持つ良血馬が、鮮やかに復活する。(戸田 和彦)