JRAは4日、阪神競馬場で新型コロナウイルス感染が判明した20代の男性職員に関する状況を説明した。それに伴い、乗り替わりとなった栗東所属の藤懸貴志騎手(27)、川須栄彦騎手(28)、岩崎翼騎手(25)の3騎手については、補償する意向も示した。
感染した職員は東京都港区の本部で勤務。3月27日から阪神競馬場に出張していた。29日には調整ルーム内の執務員室で、前記の3騎手とともに高松宮記念をテレビ越しにマスクを着用しながら観戦。数分程度の会話で、一定の接触があったことから、3騎手には、あらかじめ2日夕方に職員の感染の可能性を伝え、3日朝の調教後は、自宅待機させていた。
この日の阪神競馬場で説明に当たった福田正二審判担当理事(60)は「騎手は3名とも現在のところ平熱で、健康状態も良好と聞いている」と明かした。現在は濃厚接触者としては認定されていないため、PCR検査の予定はないとし、自宅待機の期間も現段階では決まっていないという。「本人たちとコミュニケーションを取りながら、(活動再開時期を)早期に決断したい。(乗り替わりについては)JRA命令なので、補償も検討したい」とした。
来週には、3歳クラシックの桜花賞が控えている。同理事は「JRAとしては来週以降も、予定通り競馬を実施したいと考えている。来週の状況を精査して、その都度、適切に対応したい」と説明。今回の感染した職員と接触があったと推定される他の職員数人を30日から自宅待機にする処置を取ったが、今後の感染拡大によっては開催も危ぶまれるため、JRAとしては慎重に対応していくことを強調した。
<武豊「競馬を続けていかないと」>○…JRA職員が新型コロナウイルスに感染したことを受けて、日本騎手クラブ会長の武豊が4日の阪神競馬場で取材に応じた。「こういう事態でも、競馬を続けていかないといけないと思う。対策はそれぞれ取っているけど、こういう状況なので…。騎手クラブとして、更に対策を強化したい」と強調。「売得金の一部は国に納付していますし、こういうときに競馬の存在意義を感じます」と強い決意を語った。