約4か月のアイルランド修業から帰国した小崎綾也騎手「早く道悪の芝で乗りたいです!」

アイルランドで武者修業した小崎綾也騎手(本人提供)
アイルランドで武者修業した小崎綾也騎手(本人提供)

 7月27日からアイルランドで武者修業した小崎綾也騎手=27歳、栗東・フリー=が、12月から日本での騎乗を再開した。

 受け入れ先はアイルランドのトップトレーナー、ジョセフ・オブライエン。同調教師が所有するシェアハウスに泊まり、毎朝、車で10分のオーニングヒルという同調教師のプライベート調教場で学んだ。「厩舎もあって約250頭、ジョセフ厩舎の馬がいました。ライダーは50人ぐらいでしょうか。ジョッキーは僕を入れて7人でした」。13年と16年に短期免許で来日したデクラン・マクドノー騎手や、シャフリヤールが4着に敗れた今夏のプリンスオブウェールズSを制したシェーン・クロース騎手、G1を勝ちリーディングトップ10に入るディラン・マクモナグル騎手らと腕を磨いた。

 休みは2週間に1回の日曜日だけだったが、ジョセフの父で名伯楽エイダン・オブライエンのプライベート調教場「バリードイル」まで車で40分かけて通い、調教に騎乗した。アイルランド競馬の第1Rは、早くても昼過ぎの発走。平日の午後は、出来る限り競馬を見に行き、見聞を広めた。例えばレイタウン競馬場は砂浜で、潮が引いたところを走るため「(馬場が)メッチャ固かったです」とのこと。レンタカーで移動しまくり、1か月の走行距離は約6000キロ!そんなこんなで朝ゆっくり寝られる休みはゼロだったが、「経験は財産ですからね。毎日の調教が7時から12時半ぐらいで、朝は6時まで寝られるので大丈夫でした」と笑う。

 アイルランド競馬のハイシーズンは5月から11月。これからの季節は障害中心で、週2回オールウェザーでのレースがある程度。競馬場の数は26を数えるが、日本のように同日に2場や3場開催は無い。平日も含めての開催だが、1つの競馬場で1日に8Rまでというシステムだ。6頭から20頭立てぐらいが多いが、見習いを含めて約60人のジョッキーで乗り鞍を奪い合う。4か月の遠征で合計8鞍、4着が最高という成績だったが、アイルランド競馬をよく知る関係者は「競馬に乗れるだけでもすごい。乗れずに帰国するジョッキーもたくさんいる」と話す。今回、何のツテも無く、自ら連絡して受け入れ先を見つけたことも考慮すれば、成果は十分だろう。小崎騎手は「もちろん一番はJRAで結果を出すことです。たくさん経験して、学ぶこともたくさんありました。口だけにならず、技術と結果で証明したい」と決意表明する。

 最後に、一番印象に残ったことを尋ねると「調教場も含めて、日本とは馬場が全然違いますね。アップダウンがすごくて、いびつです。直線1000メートルの競馬でも1分8秒台とかの決着ですからね」と指摘。日本馬がなかなか凱旋門賞を勝てない理由を改めて思い知らされる。「ジョッキーにも同じことが言えるのでは…ミルコさんは道悪うまい印象だよな」と思い、過去10年、JRAの芝で重、不良で行われたレースを調べてみると、ルメール騎手60勝、福永祐一騎手47勝に次いでMデムーロ騎手が44勝。最少レース機会数を100で抽出すると、勝率はルメール騎手の24・1%に次ぐ19・1%で、福永騎手(3位、16・4%)を逆転する。「(馬場が)ゆがんでる中でバランスをとるのは日本じゃ経験できません。早く、道悪の芝で乗りたいです!」と小崎騎手。引き出しが増えた若武者の活躍に期待したい。(中央競馬担当・玉木 宏征)

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