【サウジカップ】苦労人・矢作芳人調教師の競馬人生とタブる遅咲きパンサラッサの軌跡

 日本馬初の快挙だ! 25日に行われたサウジカップ・G1(キングアブドゥルアジーズ競馬場)をパンサラッサ(牡6歳、栗東・矢作厩舎)が制し、世界最高の1賞賞金1000万ドル(約13億6000万円)を手に入れた。日本勢3勝のうち2勝した“チーム矢作”を山本武志デスクが「見てきた」。

 パンサラッサは史上3頭目の無敗3冠馬、コントレイルと同世代の6歳馬だ。2歳秋の初勝利こそ不良馬場で大差勝ちと派手だったが、オープン初勝利は4歳秋。キャリア16戦目のオクトーバーSで「コントレイルに手も足も出なかったのにね。どちらかと言えば、道悪要員だと思っていました」と矢作調教師は苦笑いで振り返ったことがある。

 開業時から目指してきたのは「世界一ファンに愛される厩舎」。理想像を体現するかのような大逃げでファンを魅了するパンサラッサへの思いは強い。今年の箱根駅伝。関東学生連合の1区だった新田颯選手が2位以下を大きく引き離す快走を見せると、ツイッターで「パンサラッサ」がトレンドワード入りした。伝えると返ってきたのは「パンサラッサ、アイドルだよな」という言葉。競馬の枠を超えた注目を集める愛馬の姿が、何よりもうれしかった。

 もう一つ開業時から目指してきたのは「よく遊び、よく稼げ」。その究極と言える世界最高の13億円を獲得した。14回目の調教師試験で合格した苦労人。遅咲きの花を咲かせたパンサラッサの軌跡は、今や日本競馬の中心に立つ矢作師のホースマン人生をたどっているように感じた。(山本 武志)

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