小欄ではG1ドバイゴールデンシャヒーンについて血統面からアプローチしてみたい。調教国の要素を織り込むと、アメリカ調教かつノーザンダンサー系種牡馬を父に持つ馬が狙い目。2016年から昨年まで6回連続で3着以内馬が登場している(2020年は開催なし)。
今年の該当馬はシベリウス。父はノーザンダンサー系ストームキャットの流れをくむノットディスタイムだ。現役時は米G3イロコイS(ダート8・5ハロン)を8馬身3/4差で楽勝し、米G1ブリーダーズCジュヴェナイルでも2着と好走した。
Not This Time | Giant's Causeway 栗毛 1997 | Storm Cat |
Mariah's Storm | ||
Miss Macy Sue 黒鹿毛 2003 | Trippi | |
Yada Yada | ||
Fiery Pulpit 栗毛 2004 シアトルスルー系 | Pulpit 鹿毛 1994 | A.P. Indy |
Preach | ||
Pretty Flame 鹿毛 1987 | Mt. Livermore | |
Pretty Driver |
父はケガのため2歳時4戦2勝の成績で引退したが、種牡馬となって成功。初年度産駒から米G1デルマーデビュータントSのプリンセスノーア、米G1マディソンSのジャストワンタイムとG1ウイナーを出した。2世代目のエピセンターも米G1トラヴァーズSを制するなど活躍し、2022年の米3歳牡馬チャンピオンに選出された。
父系祖父にジャイアンツコーズウェイを持つのは2021年1着のゼンダンと同じで、ノットディスタイムの産駒シベリウスは要注意だ。
ガナイトは、父がミスタープロスペクター系ガンランナー。米G1ブリーダーズCクラシックなどG1・6勝を挙げ、米年度代表馬にも輝いた父は、米G1プリークネスSのアーリーヴォウティングや米2歳牝馬チャンピオンのエコーズールーを送るなど種牡馬としても大成。産駒がデビューした2021年には早くも米2歳チャンピオンサイアーの座をつかみ、注目の存在となっている。
Gun Runner | Candy Ride 鹿毛 1999 | Ride the Rails |
Candy Girl | ||
Quiet Giant 鹿毛 2007 | Giant's Causeway | |
Quiet Dance | ||
Simple Surprise 黒鹿毛 2013 ストームキャット系 | Cowboy Cal 黒鹿毛 2005 | Giant's Causeway |
Texas Tammy | ||
Simplify 黒鹿毛 2006 | Pulpit | |
Classic Olympio |
父系にファピアノが入るのは2015年1着のシークレットサークルと同じ。父ガンランナー自身は2017年のG1ドバイワールドC2着の実績があり、ガナイトをあと押しする。
昨年の覇者スイッツァランドは、父がミスタープロスペクター系スパイツタウン。米G1ブリーダーズCスプリントを制し、米チャンピオンスプリンターに選ばれた同馬は、高松宮記念のモズスーパーフレアや2019年のG1ドバイゴールデンシャヒーン2着馬マテラスカイの父として日本でもおなじみの種牡馬だ。
Speightstown | Gone West 鹿毛 1984 | Mr. Prospector |
Secrettame | ||
Silken Cat 栗毛 1993 | Storm Cat | |
Silken Doll | ||
Czechers 黒鹿毛 2005 カロ系 | Indian Charlie 鹿毛 1995 | In Excess |
Soviet Sojourn | ||
Pine Rob 黒鹿毛 2000 | Pine Bluff | |
Cherryrob |
母の父にインディアンチャーリーを持つのは、2022年の米年度代表馬フライトラインや米G1ペンシルヴァニアダービー優勝のホットロッドチャーリーと同じ。スイッツァランドが昨年の当レースを1分11秒13と、時計のかかるダートで勝ち切ったスタミナの供給源はこの母の父だろう。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。3月25日(土)23時00分から、ラジオNIKKEI第1「ドバイワールドカップデー実況中継」に出演予定。