【ドバイワールドカップ能力分析】ここ2戦は強いとしか言いようがないイギリスのアルジールス

 G1ドバイワールドCが25日に迫った。過去5回の調教国別成績を振り返ると、アメリカが3勝、UAEが2勝。地元勢が手薄なことから、当初は昨年の優勝馬でアメリカのカントリーグラマー(牡6歳、バファート厩舎)と日本勢の争いと見ていた。しかし、イギリスのアルジールス(セン6歳、クリスフォード厩舎)が割って入るかもしれない。

 アルジールスはフランス在籍時、コンピエーニュ大賞(芝2000メートル)などリステッド2勝。クリスフォード厩舎に移籍後は昨年のG3ジェベルアリマイル(ダート1600メートル)で重賞初制覇を果たしたが、続くG2ゴドルフィンマイルはバスラットレオンの8着。のちに去勢が施された。

 一変したのが2走前のG2アルマクトゥームチャレンジラウンド1(ダート1600メートル)。のちのG3ブルジナハール勝ち馬ディスカバリーアイランドを6馬身半も突き放して圧勝し、走破タイムの1分35秒88も昨年のG2ゴドルフィンマイル(1分36秒03)を上回る高水準だった。

 前走のG2アルマクトゥームチャレンジラウンド2(ダート1900メートル)もベンドゥーグ(牡4歳、UAE・シーマー厩舎)に6馬身差をつける快勝。勝ちタイムの1分56秒08も相当速い。

 相手に恵まれた面はあるにしても、アルジールスのここ2戦は強いとしか言いようがない。力の要るメイダンのダートを軽々と走り、しかも外めに進路を取ってあっさり抜け出した。あの走りを再現できれば、1997年のシングスピール(当時はナドアルシバ競馬場)以来となる、イギリス調教馬によるG1ドバイワールドC制覇の可能性はあるだろう。

 カントリーグラマーは昨年のG1ドバイワールドCを1馬身3/4差で勝利。米G1ペンシルヴァニアダービーのホットロッドチャーリー(2着)、日本のチュウワウィザード(3着)、米G1ペガサスワールドC招待Sのライフイズグッド(4着)など好メンバーがそろった大一番を制した。

 その後は5戦1勝2着4回。4走前の米G1パシフィッククラシックSは得意のダート10ハロンで2着だったが、19馬身あまり前にいたのが最強馬フライトラインなら仕方ない。ほかのレースはいずれも距離不足の印象で、それでも2走前の米G2サンアントニオS(ダート8・5ハロン)は次走の米G1サンタアニタHを制するスティレトボーイに4馬身半差をつけて圧勝。衰えはなく、2018年・2019年のサンダースノーに続く2頭目の連覇を視野に入れている。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。3月25日(土)23時00分から、ラジオNIKKEI第1「ドバイワールドカップデー実況中継」に出演予定。

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