【ドバイワールドカップ前哨戦】海外競馬通・成田幸穂がG1サウジカップを分析

 ドバイワールドCデーが3月25日にUAE・ドバイのメイダン競馬場で開催される。小欄ではG1ドバイワールドC(ダート2000メートル)に向けたステップレースとして、2月25日にサウジアラビアで行われたG1サウジC(キングアブドゥルアジーズ競馬場・ダート1800メートル=13頭立て)を取り上げたい。

 世界最高賞金レースを制したのは、日本のパンサラッサ(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)だった。1番ゲートから好スタートを切ると、マイペースの逃げでレースを先導。最後の直線でもしぶとく粘り、強豪カントリーグラマー(牡6歳、米・バファート厩舎)の猛追を振り切ってゴールを迎えた。勝ち時計は1分50秒79(良)。

 3/4馬身差の2着に昨年のG1ドバイワールドC優勝馬カントリーグラマー。5番手を追走し、最終コーナーでの反応はイマイチだったが、ゴール前ではさすがの末脚を見せた。カフェファラオ(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)が3着。中団外めを追走しながら、最終コーナーでは内を通るロスの少ない立ち回りで追い上げた。

 ジオグリフ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)は好位2、3番手につける積極策で、初ダートをこなしての4着。クラウンプライド(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)は4番手を追走し、最終コーナーでは終始外めを回る正攻法の競馬で5着。ジュンライトボルト(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)は当場のダートが合わなかったか伸びを欠いて7着。ヴァンドギャルド(G1ドバイターフに出走予定)はスタートの出がひと息で11着に敗れた。

 G1ドバイワールドCへ向けた展望としては、日本調教馬初のG1サウジC制覇を決めたパンサラッサは見事だが、メイダンのダートがプラスに働くか疑問。サウジより時計を要するタフな状態にあり、逃げ先行脚質が有利だった2、3年前とは全く違う。距離が200メートル延びる点も含めて、戦略的に難しいレースになるのではないか。

 一方、カントリーグラマーの巻き返しはイメージしやすい。G1サウジC2着からの転戦は昨年と同じパターンだし、2000メートル(10ハロン)の距離もベスト条件だろう。日本勢ではクラウンプライドに注目している。昨年のG2UAEダービーを快勝しており、メイダンのダート適性は証明済みだ。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。3月25日(土)23時00分から、ラジオNIKKEI第1「ドバイワールドカップデー実況中継」に出演予定。

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