◆第83回皐月賞・G1(4月16日、中山競馬場・芝2000メートル)
勝負強い母のように、大舞台でこそ輝く血統だ。シャザーンの母、クイーンズリングは16年のエリザベス女王杯を勝ったG1馬で、古馬中長距離路線で活躍した。だが3歳時には1400メートルの報知杯FRを勝ったように、適性距離の幅が広く、器用さのあった馬だった。
母を管理していた吉村調教師は「無駄なことをしない賢い馬でした。適度な気持ちの入り方で、精神的にどっしりとしていたね」と証言する。引退レースとなった17年有馬記念もキタサンブラックの2着。気持ちの余裕が、距離を問わず活躍できる理由だったのだろう。
シャザーンは21年のセレクト1歳セールで2億2000万円の高値がついた。吉村師は「下見でもいい馬だなと思いました。どんどん値が上がっていって、誰が落としたのだろうと思ったら金子(真人)さん。さすがだなと。走る馬の何かを感じ取られたのでしょう」と当時の印象を語った。
近親に仏1000ギニー勝ち馬トーレストレラがいるなど、良質な牝系の出身だ。友道調教師は「血統的にももちろん期待している馬。皐月賞でも十分楽しめると思う」と手応えを感じている。母は中山は有馬記念を含め《1》《1》〈2〉着とパーフェクト連対。2戦目まで新潟、中京コースで2戦1勝だった息子は、前走すみれSで阪神内回り2200メートルを快勝。勝負強さと中山巧者の血は確実に引き継がれているはずだ。(山下 優)