【天皇賞・春】重厚な母に父の速力をプラス タイトルホルダー、初出走の京都にも不安なし

走りは父似というタイトルホルダー
走りは父似というタイトルホルダー

◆第167回天皇賞(春)・G1(4月30日、京都競馬場・芝3200メートル)

 タイトルホルダー、メロディーレーンの母であるメーヴェは、08年にイギリスで誕生した。きょうだいは11頭いるが、目立った活躍をしたのはフランスで2歳のマイルG3・3着があるザート程度。父系は重厚なサドラーズウェルズ系で、軽い日本の馬場ではスピード能力に疑問が残る血統だ。

 しかし、購入した岡田スタツド代表・岡田牧雄氏はひと目でその能力を確信したという。「久々にいい馬を買えた、と思いました。動きが素軽かったんです。経験から言って、血統の特徴と違う動きの馬は走るんですよ」。その確信通り、12年の丹頂SなどJRAで5勝を挙げた。

 引退後は岡田スタツドで繁殖入り。同氏は「オープンまで勝っているんだから、能力の高い子を産んでくれるとは思っていました」と期待に胸を膨らませていたが、繁殖牝馬としては欠点もあった。「母性愛が足りないんです。例えば、飼料をあげても自分で全部食べちゃう。子供たちは早めに離乳させるかって話もあったんです」。だからこそ、産駒2頭は精神的にタフな馬になったのだろう。

 また、体型が対照的な2頭を産んだように、父の特色を色濃く出す傾向がある。岡田氏は「メロディーレーンはオルフェーヴルに似て小さいし、タイトルホルダーは見た目は似ていないけど走りはドゥラメンテに似ていますね」と指摘。特にステイヤーだと思われていたタイトルホルダーが、22年の宝塚記念をレコード勝ちするなどスピードにも秀でているのは父の血の影響が大きそうだ。芝の軽い京都は初出走だが、不安はない。(角田 晨)

 ○…メーヴェは今年3月に、5度の不受胎を乗り越え待望の第3子を産んだ。父ベンバトルの牝馬に岡田氏は「体も大きくて、素晴らしい馬です。将来繁殖入りすることも考えたら、これから10年以上僕を楽しませてくれると思う」と声を弾ませる。また、母自身の変化もあるようだ。「今回はすごくかわいがっているんですよ。馬が変わったみたい」。母の愛を一身に受けた若駒の、きょうだいたちを上回る活躍に期待したい。

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