◆第28回NHKマイルC・G1(5月7日、東京・芝1600メートル)
第28回NHKマイルC・G1(7日、東京)は「初」に彩られたレースだ。府中の長い直線を必死に追った先にある栄冠を、多くの調教師や騎手が初めての歓喜とともに手にしてきた。絶対的な存在が生まれたクラシック路線の影で今年も混戦必至となるレースを、東京本紙予想担当の西山智昭記者が「読み解く」。
NHKマイルCは陣営がJRA・G1初制覇を飾るケースが多い。記念すべき第1回のタイキフォーチュンは高橋祥泰元調教師、2年後の98年にはエルコンドルパサーで二ノ宮敬宇元調教師。00年から3年連続も含め、のべ27回で10人が栄誉を手にした。
調教師だけではなく、騎手も02年の勝浦(テレグノシス)に始まり、藤岡兄弟は09年に弟の康太(ジョーカプチーノ)、18年に兄の佑介(ケイアイノーテック)。これまで6人を数える。
理由の一つは、3歳春に行われるということ。この時期、やはりすべての競馬関係者が目指すのはクラシックで、このレースは言わば牡牝2冠の“谷間のG1”。その年の絶対的強者がエントリーすることが少なく、混戦になりやすいのだ。とはいえ、98年のエルコンドルパサー(単勝1・8倍)、01年のクロフネ(1・2倍)など、歴史的な名馬の飛躍のきっかけとなるG1でもあり、決してレベルが低いわけではない。
今年はどうか。桜花賞のリバティアイランドはオークス、皐月賞のソールオリエンスはダービーで、ともに断然ムードだが、当レースに絶対的な存在はいない。単勝2倍を切る馬は不在の見立てで、混戦の様相。初のG1ウィナーが誕生する可能性は十分だ。
注目しているのが、騎手では2歳王者のドルチェモアとの新コンビで臨む三浦と、ショーモンの鮫島駿。トレーナーでは1週前追い切りの動きが抜群だったモリアーナを管理する武藤調教師。1番人気が6連敗中の難解なG1は、今年もギリギリまで頭を悩ませることになりそうだ。(西山 智昭)