4月22、23日の春の福島最終週は、5人が集結した女性ジョッキーの取材に追われた。23日7Rでは史上初となる5人の同時騎乗。この一戦は古川奈穂騎手がトップでゴールテープを切ったが、この週にひときわ存在感を放ったのは永島まなみ騎手だった。福島では前週までに4勝を挙げ、菱田裕二騎手と並びトップ。女性では藤田菜七子騎手以来2人目の開催リーディングがかかっていた。そんな勝負の2日間で3勝2着2回と大暴れ。見事に“福島女王”に輝いてみせた勝負度胸に、恐れ入った。
永島は「小回りで4キロ減を生かせると思って積極的に乗って結果を出すことができました」と話していた。だが、控える競馬でも着実に結果を出し始めている。経験を積み重ね、駆け引きの面においても実力を上げてきたからこそだろう。
舞台を新潟に移しても勢いは止まっていない。30日に2勝を挙げて16勝とし、15勝の今村聖奈騎手を抜いて女性騎手単独トップに浮上した。女性騎手の年間最多勝利は今村が昨年記録した51勝。それまでは第一人者の藤田菜七子騎手が19年にマークした43勝だったが、同年の4月終了時点は11勝だった。永島、今村は上回るペースで白星を重ねていることになる。
初めて1年間フルで騎乗することになる2年目の今村がどれだけ勝ち星を伸ばすかも興味深いところだが、永島の勢いには目を見張るものがある。時には密集した馬群にも果敢に突っ込む“ファイター”だが、取材の際には笑顔を浮かべ、人柄の良さがにじむ。「たくさん乗せてもらって学ばせて頂いています」と謙虚な姿勢を崩さない20歳。まだまだ勝ち星を伸ばし、大きく飛躍して欲しい。(石行 佑介)