【安田記念】10年で6頭が初V、実績よりも適性を重視…大上賢一郎の見解

大上記者が「タフなマイラー」と本命に指名したソウルラッシュ(カメラ・高橋 由二)
大上記者が「タフなマイラー」と本命に指名したソウルラッシュ(カメラ・高橋 由二)

 G1馬10頭が集結し、関係者も「超豪華メンバー」と口をそろえる一戦。その10頭の中にはNHKマイルCの3世代覇者(シュネルマイスター、ダノンスコーピオン、シャンパンカラー)をはじめ、フェブラリーSを連覇した砂の鬼(カフェファラオ)、1200メートルの高松宮記念(ナランフレグ)、2000メートルの大阪杯(ジャックドール)の勝ち馬が名を連ねる。

 マイルが得意なスピードスターの激突というよりも、多彩な世代と分野の巧者たちが織りなす“異種格闘技戦”の色を帯びている大一番。過去10年の勝ち馬のうち、6頭がG1初制覇だったことを考えると、実績には敬意を払いつつも、フラットに個々の能力、適性を見定めていきたい。

 ソウルラッシュが本命。昨年は13着だったが、壁にはね返されたわけではない。スムーズな追走から、直線ではじけるかに思われたが前が詰まって万事休す。浜中騎手が促し、何度かアタックを試みたが、こじ開けるスペースが全くなかった。

 その後は一線級相手に差のない競馬を続けている。富士Sは次戦のマイルCSを勝つセリフォスに首差かわされた2着だが、3キロ重い斤量差がこたえた。マイルCSは外枠から外を回されながらも、3着のソダシと鼻差の4着。久々だった前走の読売マイラーズCも15番枠からロスの多い立ち回りを余儀なくされる中で、勝ったシュネルマイスターから首、首差の3着だった。しっかりとした敗因がありながら、常に崩れていない点は高く評価できる。

 昨年の読売マイラーズCに、この馬のすべてが詰まっている。阪神の稍重馬場の中、大外から一気に差し切った。泥んこ馬場だった17年菊花賞を勝ったキセキと同じルーラーシップ産駒。父から受け継いだパワーを武器に荒れた芝、直線の急坂をものともしない。過酷な条件ほど力を発揮する「タフなマイラー」が、この馬の本質だ。前日までの雨による馬場の回復が遅れるほど、チャンスは広がる。

 鞍上は日本ダービーで早めにポジションを押し上げ、伏兵ハーツコンチェルトを3着に持ってきた松山騎手。ソウルラッシュとのタッグ4戦目で、コンビネーションも上がってきているだけに、自在に攻めて今度こそチャンスをものにする。馬連(10)―(18)(5)(13)(3)(4)(14)(11)(7)。

 今週のひと追いで上昇…ソウルラッシュは2日、滋賀・栗東トレーニングセンターの坂路で調整。パワフルに57秒3―14秒1をマークした。兼武助手は「今週のひと追いでだいぶ良くなっていると思う」と上昇度を伝える。土曜まで雨の予報だが、昨年の読売マイラーズCなど、芝では良馬場以外で3戦3勝。同助手は「雨が残るぶんはこの馬にはいい。重馬場を嫌うわけではない」と道悪歓迎の構えだ。

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