矢作調教師プロデュースの「真狩サマーステーブル」が羊蹄山の麓に誕生! 厩舎の中継基地を担う外厩施設

真狩サマーステーブルをお披露目した矢作芳人調教師(カメラ・角田 晨)
真狩サマーステーブルをお披露目した矢作芳人調教師(カメラ・角田 晨)
手前からコントレイル棟、リスグラシュー棟、ラヴズオンリーユー棟(カメラ・角田 晨)
手前からコントレイル棟、リスグラシュー棟、ラヴズオンリーユー棟(カメラ・角田 晨)

 北海道真狩村、えぞ富士とも呼ばれる羊蹄山の麓に新たな競走馬用の外厩施設が誕生した。矢作芳人調教師(62)=栗東=が全面プロデュースし、妻の株式会社ウィリアムレーシング代表・久子氏が設立した「真狩サマーステーブル」および「コテージ・エクリプス」のお披露目セレモニーが31日、現地で行われた。名伯楽の手がけた新施設をひと目みようと、100人以上の関係者が来場。同施設は徒歩で10分ほど歩けば1周できる大きさの敷地に、厩舎2棟と来夏から稼働予定のトレッドミル、3棟のコテージが立てられている。

 北海道競馬が開催中の夏の期間は、外厩施設の「真狩サマーステーブル」として運営。20の馬房に最長で2週間程度、管理馬を滞在させる予定だ。競馬が開催されない10月~5月の間は厩舎設備を閉じ、「コテージ・エクリプス」として一般客が宿泊できるコテージが貸し出される。

 北海道に外厩施設を作るのは古くからの夢だったと矢作調教師は語る。「ウチは浦河の馬を預かることが多いんだけど、浦河から函館の移動は本当に馬にとって負担なんだよね」。移動時間は約8時間。繊細なサラブレッドにとっては、過酷な移動だ。「函館、札幌はそれぞれ馬房数が制限されてるから、しばらく使わない馬は(馬房を空けるために)放牧に出さなきゃいけないけど、移動で消耗しちゃうんですよ」。万全の態勢で競馬を使うためにも、中継基地の存在が必要だった。そんなときに、古くからの友人が在住している真狩村に最適な土地を見つけた。「オーナーの方が『競馬の施設に使ってください』と言ってくださったんです」と久子氏。車で札幌から1時間半、函館からは2時間半と中間にある真狩村はまさにうってつけの土地だった。

 魅力はそれだけではない。「わき水が出るんですよ。しかも軟水だから、馬にいいんだよね」とトレーナー。その効果は早くも出ているという。「既に(7月)25日からワイワイレジェンドとニコニコルンルンの2頭が入っているけど、ニコニコルンルンなんか来た当初はだいぶ細かったのに、今ではふっくらして落ち着いてきてますよ」と、狙ったとおりの効果にトレーナーは目を細めた。

 併設されている「コテージ・エクリプス」の3棟にはそれぞれコントレイル棟、リスグラシュー棟、ラヴズオンリーユー棟と矢作調教師の管理した名馬の名前がついている。今回はコントレイル棟の中が公開されたが、6つのベッドにカウンターキッチン、広々としたバスルームと宿泊設備は充実。さらに、JRA賞のトロフィーやコントレイルの5分の1サイズの銅像など、“矢作コレクション”も盛りだくさん。まだ宿泊施設としての許可は下りていないが、10月ごろから予約開始を予定している。

 矢作調教師は「いずれは土地を広げて引退馬を繋養して、観光客をさらに呼び込めるようにできたらいいね」とビジョンを語る。真狩村の岩原清一村長も「インバウンドを狙う新たな観光資源になってくれれば」と期待を寄せる新名所に、一度足を運んでみてはいかがだろうか。

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