【こちら日高支局です・古谷 剛彦】セレクションセール平均最高額はシニスターミニスター産駒 無敗3冠馬誕生効果

 先週に引き続きセレクションセールを振り返る。7月26日に2日目が開催され、26億8310万円(税別)、売却率は90・41%と前年の2日目をともに上回った。2日目の最高価格は「ストライクルート2022」(牡、父エピファネイア)の6000万円で、吉岡実氏が落札した。20年の報知杯フィリーズレビューを制したエーポスや、21年朱鷺Sを差し切ったカイザーミノルなどの半弟。5月の遅生まれながら、実績あるファミリーと父の成長力に期待する関係者が多く、高い評価を受けた。

 2日間トータルの売却総額は56億4670万円、売却率は91・86%とレコードを更新した。昨年、11年ぶりに2日間開催を復活させ、初の40億超えを達成したが、昨年より上場頭数が6頭減ったにもかかわらず、50億円を超える売り上げとなった。「ただビックリというのが正直なところです。売上総額はもちろんですが、売却率が2日間とも9割を超えたことが、非常にうれしく思います。セレクションして上場馬を決める上で、申し込みのあった馬の質も向上していることも大きいと思います。セレクトセールの好況は、確実にこの市場にもつながっています」と、古川雅且市場長は振り返った。

 近年の各市場の好況は、コロナ禍でも競馬全体の売り上げが良く、それに比例して地方競馬でも賞金がアップし、馬主の購買意欲も高まっていると分析されている。そして、無敗で南関東3冠を成し遂げたミックファイアの父であるシニスターミニスターの産駒は5頭上場されて完売。その中に今セールの最高価格となる9400万円で落札された「カリーニョミノル2022」(牡)がいた。5頭はすべて2000万円を超え、平均価格は4180万円と、複数の上場馬がいる種牡馬別の平均価格でトップとなった。

 「地方競馬を舞台にダート3冠が来年から始まることに加え、大井で無敗の3冠馬が誕生した話題も追い風となり、ダート系の種牡馬が高額になるケースが大変目立ちました。また、オンライン同士の競り合いもあるなど、ハイブリッドでの競りも定着し、2日目は7頭がオンラインで落札されています」と古川市場長。購買者がコロナ禍以降の競りに慣れてスムーズに進行され、関係者のストレスも少なかった印象を受ける。購買登録者数が1028人(オンラインは46人)と前年より41人も増えたこともあり、初日の序盤から活発な競りが展開された。落札された馬の写真撮影を手伝う時間帯もあったが、コンサイニングの向上によって落札された馬たちが立ち写真撮影に慣れてきたことと、次に来ると思われる馬たちの競り時間が思った以上に長く、落札した馬をあまり待たせることなく撮影に臨めたことも、競りとは違う視点でスムーズだった。目立たない一面だが、カメラスタッフや耳を立たせる手伝いで来た馬術部の学生の尽力もあったことをお伝えしたい。

 セレクションセールで思うように落札できなかった購買者も少なくない。それだけに21~25日のロングラン開催となるサマーセールにも相当な需要が高まる。無敗の南関東3冠馬となったミックファイアは21年サマーセールの取引馬(500万円で落札)。20年全日本2歳優駿を制し、21年東京ダービー馬となったアランバローズも、19年サマーセールで取引されている(850万円で落札)。地方競馬の購買関係者を中心に、レコードを樹立した昨年(売上総額63億8610万円、売却率77・45%)を上回るかが、最大の焦点となる。(競馬ライター)

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