◆第71回府中牝馬S・G2(10月14日、東京・芝1800メートル=良)
第71回府中牝馬S・G2は14日、東京競馬場で行われ、単勝1番人気のディヴィーナ(Mデムーロ)が鮮やかに逃げ切った。これでG1・2勝の母ヴィルシーナとの母子重賞制覇となった。今後は優先出走権を獲得したエリザベス女王杯(11月12日、京都)への出走を視野にG1制覇を狙う。
母譲りの勝負根性で踏ん張った。ディヴィーナが逃げ切りで初タイトル、ヴィルシーナとの母子重賞制覇を遂げた。良血の開花に検量室では佐々木主浩オーナーや友道調教師、Mデムーロなど関係者が次々と抱擁し、歓喜の輪が広がる。鞍上は「最近、いつも2着で残念だったので今日は頑張ろうと思っていた。うれしい、めちゃくちゃくれしい」と惜敗続きの悔しさを晴らし笑顔が弾けた。
自身初の「逃げ」に場内がざわついた。序盤はかかりながらだったが、向こう正面あたりで落ち着きを取り戻すと、道中はマイペース。直線で後続が迫ったが、脈々と受け継がれる気持ちの強さを爆発させ、決して抜かせはしない。最後はルージュエヴァイユの猛追を鼻差しのぎ切って、ゴールに飛び込んだ。
ヴィルシーナが14年にヴィクトリアマイルを連覇した時をほうふつとさせる逃げ切りだった。師は「母を思い出したね。精神力の強さがすごく似ている」と偉大な名牝の記憶をたどり、強さの一端を分析。佐々木オーナーは「(3走前の)ヴィクトリアマイルから本格化してくれた。成長の遅いファミリーだけど、友道調教師が我慢して使ってくれた」と感謝を口にした。
G1馬の母に国内外G1・2勝の叔母ヴィブロス、ジャパンC勝ちの叔父シュヴァルグランと一族には活躍馬がズラリ。トレーナーは「相談してだけど次はエリザベス女王杯に」と母子G1制覇へ挑むプランを明かした。ファミリーの夢にはまだ続きがある。(松末 守司)
ディヴィーナ 父モーリス、母ヴィルシーナ(父ディープインパクト)。栗東・友道康夫厩舎所属の牝5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算17戦5勝。総獲得賞金は1億6238万6000円。重賞初勝利。馬主は佐々木主浩氏。