【JBCスプリント】地方の意地 イグナイター兵庫競馬の所属馬で初めてG1を制した

イグナイターを兵庫勢初の交流G1勝利に導き、笹川は会心のガッツポーズ
イグナイターを兵庫勢初の交流G1勝利に導き、笹川は会心のガッツポーズ

◆第23回JBCスプリント・交流G1(11月3日、大井・ダート1200メートル=良)

 ダート競馬の祭典、JBC競走が3日、大井競馬場と門別競馬場で開催された。スプリントは3番人気イグナイター(笹川)が兵庫競馬の所属馬として初めてG1を制した。

 新たな歴史の扉を開き、喜びが爆発した。好位2番手から直線で先頭に立ったイグナイターは、最後まで力強い脚いろで伸び続けた。ゴールの瞬間、笹川は左手を真横に掲げて派手なガッツポーズ。ウイニングランで観客の笹川コールを耳にして、「夢かなと思うくらい。園田の皆さん、やりました。こうやって皆さんにイグナイターの歴史を見せることができてよかったです」と声を張り上げた。

 地方の意地を見せた。兵庫勢初となる交流G1制覇をもたらした鞍上は、今年の南関リーディング首位を走る。きっちりとスタートを決めて前、前で立ち回り、抜群の手応えで4コーナーまで回ってきた人馬の呼吸はピッタリだった。デビュー11年目で脂が乗っている29歳は「本当に責任感もありますし、それに恥じないように自分の技術を上げていかなければなと思わせてくれるような馬」と、信頼して4度目のコンビを任せてくれた陣営に感謝した。

 手塩にかけて育成してきた新子(あたらし)調教師の胸中には、喜びや忘れられない記憶が次々と押し寄せた。15年には、当レースに挑んだタガノジンガロが14着で入線後に急性心不全で急死。「やっと勝てたという思いです。ジンガロのひと押しがあったと思う…」と思わず目頭を押さえた。今後は海外遠征や来年の連覇などを目標に掲げ、地方の雄としてさらなる夢を紡いでいく。(坂本 達洋)

 ◆イグナイター 父エスポワールシチー、母ビアンコ(父ウォーニング)。園田・新子雅司厩舎所属の牡5歳。北海道日高町・春木ファームの生産。通算25戦12勝(うち中央3戦1勝)。総獲得賞金は2億9104万円(うち中央700万円)。主な勝ち鞍は楠賞(21年)、黒潮スプリンターズC(22、23年)、黒船賞・交流G3、かきつばた記念・交流G3(いずれも22年)、さきたま杯・交流G2、園田チャレンジC(いずれも23年)。馬主は野田善己氏。

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