今年限りでユニホームを脱いだ「熱男」こと松田宣浩さんに24日の有馬記念を予想してもらった。今は競馬担当だが、サブ担当も含めると計9年間、ソフトバンク担当を務めた記者が、ある取材の場で同席させてもらったタイミングで、せっかくの機会と、お願いした。
「本命はタイトルホルダー。引退レースと聞きましたし、今年で引退した自分と重なりますね」。野球選手らしく“タイトル”と言う響きも気に入ったようだ。7年連続を含む8度のゴールデングラブ賞を獲得。だが、そのタイトルよりも記者がそれ以上に“偉大”だと感じるのは試合に出続けたこと。15年から5年連続全試合出場。20年にストップするまで815試合連続で出場したのは彼の“勲章”だ。
入団当初から40歳まで現役を続けることが目標だったという松田さん。近くで見続けてきた記者としては、長く続けられたのは練習のたまものだと感じる。自身の1月の自主トレには、必ず10歳以上も年の離れた選手を誘っていた。体力あふれる若手と同じ練習量を積むことで、自身を追い込むためだ。
そして研究熱心。とにかく新聞を読む選手だった。ペイペイDにつくと選手サロンに置いてあるスポーツ紙に目を通す。そこに“ヒント”があるから。結果を残しているある選手の練習方や思考などを紙面を通じて知ると取り入れる。トッププレーヤーになっても、その貪欲な姿勢は崩さなかった。今回、取材するにあたり当時を思い出し、記者も身が引き締まる思いがした。
さて、記者の本命候補でもあるタイトルホルダー。何度もプロ野球選手の勝負強さを目の当たりにし、松田さんとは違う某有名スラッガーと意見が一致した、ジャスティンパレスに本命を決めかけていた矢先に…。イクイノックス不在の戦国有馬。最後まで頭を悩ませることになりそうだ。
(中央競馬担当・戸田 和彦)