◆第58回シンザン記念・G3(1月8日、京都競馬場・芝1600メートル、良)
第58回シンザン記念・G3は8日、京都・芝1600メートルで行われ、3番人気ノーブルロジャーが重賞初制覇を果たした。鞍上の川田は19年連続の重賞勝ち。パレスマリス産駒は昨年の朝日杯FSを制したジャンタルマンタルに続くタイトル獲得。今年が年男の吉岡辰弥調教師は、うれしい年明け早々の重賞勝ちとなった。
馬場の“ど真ん中”を力強く伸びた。最後の直線。4コーナーで馬群の外を回ったノーブルロジャーの脚いろが鈍ることはなかった。17頭のライバルたちをねじ伏せる横綱相撲で完勝。「能力の高さを見せてくれるレースだったと思います」と川田も気持ちよさそうに汗をぬぐった。
19年連続重賞Vを早くも決めた鞍上。手腕も光った。イン有利が“定石”の開幕週。だが、徐々に内側の馬場が荒れてきたことを察し、直線で外を選択した。「開幕日(6日)から内はみんなしっかり使ってきましたので、あえて外を選びました」。吉岡調教師も「馬群で我慢できたことが最後の伸びにつながった。直線を絶好の位置で向いてくれた」と手綱さばきをたたえた。
高い“遺伝力”も証明した。JRAで7頭がデビューし4頭が勝ち上がるパレスマリス産駒では、昨年の朝日杯FSを制したジャンタルマンタルに続き、2頭目の重賞ウィナーとなった。「(G1制覇に導いた)ジャンタルマンタルに似ていると感じるところもあった」と川田。パレスマリス自身は米国のダートG12勝だが、半弟のジャスティンパレスが昨年の天皇賞・春を制し、日本の馬場への適性は証明済み。今年から国内での供用が決まっており、追い風になるのは確実だ。
吉岡調教師は今年3月に48歳を迎える年男。京都金杯を制した中竹調教師に続く辰(たつ)年生まれのトレーナーが新春早々、タイトルをゲットした。「まだジョッキーと話していませんが、(適距離は)マイルくらいのイメージ。ジャンタルマンタルを倒しに行きます」と、いたずらっぽく笑ったトレーナー。今後のレースは未定だが、夢の広がる白星だった。(戸田 和彦)
◆ノーブルロジャー 父パレスマリス、母ノーブルレディ(父モアザンレディ)。栗東・吉岡辰弥厩舎所属の牡3歳。米国・キャンディメドウズLLCの生産。通算2戦2勝。総獲得賞金は4885万1000円。重賞初勝利。馬主は(株)ノルマンディーサラブレッドレーシング。