◆第26回中山グランドジャンプ・JG1(4月13日、中山・障害直線芝4250メートル、良)
第26回中山グランドJ・JG1(芝4250メートル)は13日、中山競馬場で行われ、昨年の覇者イロゴトシが復活を告げる連覇で、天国に旅立った藤岡康太騎手に勝利を届けた。
序盤はニシノデイジーが大逃げを決めるなか、自分のリズムを守り中団を追走した。動いたのは後半。最後のコーナーで前をとらえると2番手を追走していたビレッジイーグルに抵抗されたが、4角手前で振り切り先頭へ。直線は外から伸びるジューンベロシティの猛追を抑え込み3馬身差でゴールした。黒岩は「個人のことより、イロゴトシはやっぱり強いんだというのを皆さんに見せられたことがうれしい」と愛馬をたたえた。
仲間への黙とうから始まったこの日。いつも通り競馬が開催され、騎手たちはファイトしたが、黒岩はレース後の場内インタビューで仲間への思いを吐露した。「騎手を始め、馬に携わっている人たちは命がけで競馬を盛り上げています。彼は空の上から僕たちを応援してくれると思うので、競馬ファンの人たちはひと言でいいので、康太にお疲れ様ですと言ってあげてください」と声を詰まらせながら願った。公開されたジョッキーカメラ映像では、ゴール後「康太勝ったぞ!」と絶叫するシーンもあった。
昨春、同レースで王座に就いたが、夏バテの影響もあり、昨年暮れの中山大障害に出走できなかった。それでも諦めずにじっくり立て直し、今年初戦で平地のレースを叩いて上昇カーブを描き、頂点を奪い返した。鞍上は「馬に負けないように精進したい」と誓う。人馬で新たな伝説をつくり上げていく。(松末 守司)
イロゴトシ 父ヴァンセンヌ、母イロジカケ(父クロフネ)。栗東・牧田和弥厩舎所属の牡7歳。熊本・本田土寿氏の生産。通算31戦6勝(うち障害6戦3勝、地方3戦0勝)。総獲得賞金は2億849万5000円(うち障害1億4682万円、地方240万円)。主な勝ち鞍は中山グランドJ・JG1(23年)。馬主は内田玄祥氏。