◆第59回フローラS・G2(4月21日、東京・芝2000メートル、良)
2重賞が21日に行われ、オークス(5月19日、東京)トライアルの第59回フローラS・G2(東京=2着までに優先出走権)は、アドマイヤベル(横山武)が差し切って重賞初制覇。姉のリベンジを懸けて本番に挑む。
いろんな思いが胸にこみ上げた。アドマイヤベルは4角6番手から直線を向くと、坂の途中からゴーサインに応えて反応良く加速。堂々と横綱相撲で抜け出して、最後は1馬身差をつけて“オークス切符”となる重賞初制覇だ。右手で何度もガッツポーズをつくった横山武は「(20年に)ウインマリリンで勝たせていただいた時は、(落として)ムチがなかったんですけど、今日はムチを持ったままゴールできてよかったです」と、自身の重賞初制覇の思い出がよみがえった。
前が有利な開幕週の馬場を考慮して、あらかじめ前めの位置から運ぶ作戦を思い描いていた。「まさしく思った通りの競馬ができた。折り合いは全く問題なかったですし、この感じだったら2400メートルでも問題ないと思う」と鞍上。17年のヴィクトリアマイルを制したG1馬アドマイヤリードの半妹という良血で、素質の高さを証明した。
オークスには16年に15着に敗れたリードと22年に10着だったベルクレスタの姉2頭が出走。そのリベンジを果たすべく、本番への道筋をつけた完璧なエスコートに、加藤征調教師も満足げだ。「2000メートルがぴったりかなと思ったら、まだまだ(距離は)大丈夫そうですね。このまま無事に次へ行きたいと思う」と、オークスへ意気込んだ。
本来なら前走のフリージア賞で横山武は初コンビを組むはずだったが、当日に落馬負傷して乗り替わりとなっていた。自身の悔しさを晴らす白星となったが、それ以上に支えてくれるファンへの感謝で胸がいっぱいになった。「どれだけ気をつけていても、けがをしてしまうスポーツですが、(藤岡)康太さんみたいなことが少しでも起きないように祈りますし、ファンの方の温かい応援がジョッキーにも関係者にも馬にも力になっています」。それだけに大きな声援に応えられた喜びは格別だった。(坂本 達洋)
◆アドマイヤベル 父スワーヴリチャード、母ベルアリュール2(父ニューメラス)。美浦・加藤征弘厩舎所属の牝3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は4戦2勝。総獲得賞金は6728万8000円。重賞初勝利。馬主は近藤旬子氏。