◆第74回安田記念・G1(6月2日、東京・芝1600メートル、稍重)
春のマイル王決定戦、第74回安田記念・G1は2日、東京競馬場で行われ、香港馬ロマンチックウォリアーが1番人気に応え、外国馬として4頭目となる18年ぶりの勝利を飾った。直線追いすがる日本勢を寄せ付けず、5連勝でG1・8勝目を挙げ、評判通りの強さを見せつけた。春のラストG1、宝塚記念(23日、京都)に予備登録があったが、見送ることを調教師が明言した。
縮まらない。5番手で最後の直線に向いたロマンチックウォリアーの前方は壁、外はステラヴェローチェが馬体を合わせ、進路がない。だが、坂の下で進路が開くと、真一文字に伸びた。直後、武豊のナミュール、モレイラのソウルラッシュが後方から襲いかかる。ラスト1ハロンの猛追も、半馬身差まで。8個目のG1タイトルを手にしたゴール後、大きく指を突き上げ喜びを爆発させたマクドナルドは「完璧な展開で、チャンピオンであることを証明できた」と堂々胸を張った。
言葉通り、9戦ぶりのマイル戦は非の打ちどころがなかった。ゲートを決めると、「中団前めを取ろうと思っていた」のプラン通り、6番手のポケットを追走。前半3ハロン34秒5の締まった流れに乗り、圧巻は上がり3ハロン33秒4だ。同じ稍重だった20年の勝ち馬グランアレグリアの33秒7を4角5番手、しかも進路を待ちながら上回る数字。2着ナミュールの高野調教師が「勝った馬がすごい馬だった。距離不問で、アウェーでも勝ちきるんだから…」と脱帽したように、半馬身差以上の大きな差だった。
外国馬では18年ぶり4頭目の制覇を、豪州のコックスプレートを含むG1・5連勝でやってのけた。日本勢とは香港の4度を含め、5度のG1で延べ30頭と対戦し、一度の先着も許さず。15年から19年にかけて33連勝と大記録を達成した豪州の名馬ウィンクスにも騎乗経験がある32歳は「僕が乗ったなかでもベストの馬だと思う」とロマンチックウォリアーの名前を挙げた。
宝塚記念・G1に予備登録しており、日本勢と再戦の期待もあったが、シャム調教師は「来シーズンまで休ませます。12月の香港ミーティングに直行するか、一回前哨戦を使うかです」と明言。9月から始まる香港競馬の新シーズンに万全の態勢で向かう予定だ。「来年も日本で待っています」という報道陣の問いかけには「サンキューベリーマッチ!」とニッコリ。1分32秒3で計り知れない強さを刻みつけ、さらに連勝街道を突き進む。(角田 晨)
◆ロマンチックウォリアー 父アクラメイション、母フォークメロディ(父ストリートクライ)。香港のC・シャム厩舎所属のセン6歳。愛国・コーダフスタッドの生産。通算20戦15勝。総獲得賞金は約27億6808万円。主なG1勝ちは香港のクイーンエリザベス2世C(22、23、24年)、香港C(22、23年)、豪コックスプレート(23年)、香港ゴールドC(24年)。馬主はP・ラウ氏。