◆第69回京成杯AH・G3(9月8日、中山競馬場・芝1600メートル)
今週から中山開催がスタートし、秋競馬が開幕。実績馬が大舞台に向けて続々と始動する。第69回京成杯オータムH・G3(8日、中山)には、昨年の2歳女王・アスコリピチェーノが登場する。
昨年の2歳女王アスコリピチェーノが秋のG1タイトルを見据え、始動戦を迎える。2歳時はデビュー3連勝で阪神JFを勝利。しかし、桜花賞、NHKマイルCの春2戦はともに2着と歯がゆい結果が続く。「結果は良くなかったけど力は出しているし、上位であることは示している。秋は結果につなげたい」と黒岩調教師。主役としてG1に向かうためには、落とせない一戦となる。
前例のない戦いとなる。前身の京王杯AHから京成杯AHに名前を変えた98年以降、3歳馬は44頭が参戦し、06年のステキシンスケクン、12年のレオアクティブ、16年ロードクエストと牡馬の勝利は3頭。だが、3歳牝馬は8頭が参戦して勝利なし。20年のスマイルカナが2着と健闘したが、いまだに勝利はなく、高い壁が立ちはだかる。52キロで出走した同馬より重い55・5キロを背負うが、黒岩師はここを始動戦に選択した理由を「距離や出走間隔を考えて」と説明。マイル路線に照準を定め、マイルCSまで2か月以上しっかりと間隔を取れるローテーションを組んだ。
調整は右肩上がりに進んでいる。8月11日の坂路での初時計から、3週前には美浦・Wコースを単走で6ハロン82秒9―11秒5と上々の時計をマーク。その後は坂路とWコースを交互に使い、28日の1週前追い切りは北村宏が手綱を執り6ハロン80秒9―11秒1。鞍上の手綱は動かないまま、3頭併せの内から余力たっぷりに抜け出した加速力はさすがのひと言。トレーナーは「3週前は重さもあったけどそれもその時だけで、進めながら良くなってきている。すごくいいと思うし1週前としては不安なく臨めそう」と手応えをつかむ。
今回が初となる中山マイル戦。黒岩師は「先行力があるし立ち回りも上手なのでこなしてくれると思う」とトリッキーな舞台への適性も見込む。これが5戦連続マイル戦となるダイワメジャー産駒が、古馬との初対戦でタイトルを積み重ねる。(石行 佑介)